「朝起きたら、二重の線がもう1本増えて三重まぶたになっていた」
「三重まぶたの治し方を調べても、マッサージから手術まで出てきて、どれが自分の話なのかわからない」
「瞼が三重になるのは珍しいこと? もしかして、老化が始まったの?」
鏡を見て線が増えているのに気づくと、昨日までと違う顔になったようで落ち着かないものです。メイクもうまく決まらず、一日じゅう気になってしまいますよね。
この記事は、形成外科専門医として20年以上まぶたの治療を専門に行ってきたDr.簗(やな)由一郎監修のもと、三重まぶたの原因と対処についてご説明しますね。
三重まぶたには、数日で自然に戻ることが多いものと、待っていても戻りにくいものがあります。その見分け方と、ご自宅でできること、治療を考える場合の選択肢を、順にお伝えします。
も く じ
Toggle三重まぶたとは|二重の線が増えて見える仕組み

三重まぶたとは、いつもの二重の線とは別の位置にもう1本折れ目ができて、まぶたが三段に重なって見える状態のことです。
まず、二重の線がどうやってできているかを確認しておきますね。二重の線は、まぶたに描かれた模様ではありません。目を開けるたびに、皮膚が奥へ折りたたまれてできる折り目です。
まぶたを持ち上げているのは、眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉です。この筋肉が縮むと、まぶたの縁が上がると同時に、皮膚の一部が奥へ引き込まれます。その引き込まれる位置が、二重の線になります。
ところが、折りたたまれる側の条件が変わると、折れる位置がずれます。きっかけになるのは、主に次のような変化です。
- 皮膚のハリが落ちる
- まぶたの厚みを作っている脂肪が減る
- まぶたを開ける力のかかり方が変わる
すると、いつもの線の上や下に別の折れ目ができて、線が増えて見えます。これが三重まぶたです。
年齢とともに増える変化ですが、若い方でも疲れた日だけ出ることがあります。診察でもよくご相談をいただく、珍しくない状態です。
数日で戻ることが多い、一時的な三重まぶたの原因

次のようなきっかけで出た三重まぶたは、数日のうちに戻ることが多いものです。
- むくみ(寝不足、塩分の多い食事、お酒、泣いたあと)
- 乾燥
- 疲れや目の酷使
- 急な体重の減少
- アイプチやアイテープで、毎日ちがう位置に折り癖をつけている
むくみによるもの
まぶたの皮膚は顔の中でもっとも薄く、わずかな水分の増減が見た目に出ます。むくんでいるあいだは、いつもの位置で皮膚が折れにくくなり、別の場所に線が入ることがあります。
寝不足の翌朝、塩分の多い食事やお酒の翌朝、泣いた翌朝に出た線は、むくみが引くにつれて戻っていくことがほとんどです。朝のまぶたのむくみについては、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
乾燥、疲れ、目の酷使によるもの
皮膚が乾くとしなやかさが落ちて、細かい折れ目がつきやすくなります。
パソコンやスマートフォンを長く見続けた日の夕方に、三重になる方もいらっしゃいます。目が疲れてまぶたが重く感じる日は、線の位置がいつもとずれて見えることがあります。ひと晩休んで戻るなら、一時的なものと考えてよいと思います。
急な体重の減少によるもの
短い期間で体重が落ちると、まぶたのふくらみを作っていた脂肪も減ります。皮膚の内側の支えが急に減るので、皮膚が余って折れ目が増えることがあります。
一時的な変化で済むこともあれば、そのまま線が残ることもあります。
アイプチやアイテープの折り癖によるもの
20〜30代の方に多いのが、この形です。日によってちがう位置に線を作っていると、まぶたに折り癖がいくつも残ります。使っていない日に、その癖が同時に出て三重に見えるわけです。
使い始めて間もないうちは、数日まぶたを休ませると戻ることが多いです。何年も続けている場合は話が変わりますので、次の章でお話ししますね。
戻りにくい三重まぶたの原因

まぶたの組織そのものが変わってきている場合は、待っているだけでは戻りにくくなります。主な原因は次のとおりです。
- 加齢による皮膚のたるみと、ハリの低下
- 上まぶたのくぼみ
- 眼瞼下垂(がんけんかすい)
- 過去に受けた二重の手術
- 花粉症やアトピーなどで、まぶたをこする習慣が長く続いている
皮膚のたるみと、上まぶたのくぼみ
40代以降の方に多いのが、この2つの組み合わせです。
年齢とともに皮膚のハリが落ちると、余った皮膚が二重の線の上にかぶさり、そこにもう1本、浅い折れ目ができます。
同じころ、まぶたの奥にある眼窩脂肪(がんかしぼう)が減って、上まぶたがくぼんでくる方もいます。くぼむと皮膚が奥へ引き込まれやすくなり、いつもより高い位置に線が入ることがあります。
眼瞼下垂
眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉の力が、まぶたの縁にうまく伝わらなくなった状態です。筋肉とまぶたの縁をつなぐ挙筋腱膜(きょきんけんまく)という薄い膜がゆるんで起こるものが、大人では多くを占めます。
力が縁に伝わりにくくなったぶん、目を開けるときに皮膚を奥へ強く引き込むようになり、いつもより高い位置に新しい線ができることがあります。二重の幅が広くなった、線が増えた、という変化が、眼瞼下垂のサインになっている場合があるのです。
目が開けにくい、視界の上のほうが狭い、額に力を入れて見ている。こうしたことが重なっているなら、線の問題というより、開ける力の問題かもしれません。ご自宅でできる確かめ方は、こちらの記事にまとめています。
過去に受けた二重の手術
埋没法(まいぼつほう)は、細い糸でまぶたの内部を留めて二重の線を作る、自費診療の手術です。年数がたって糸がゆるむと、作った線を支える力が弱くなり、別の位置にも折れ目が出て三重に見えることがあります。
こする習慣が長く続いている
花粉症やアトピー性皮膚炎で、何年もまぶたをこすってきた方も、線が増えやすくなります。こする刺激で薄い皮膚が少しずつのび、ハリが落ちていくためです。こする習慣は、先ほどの挙筋腱膜がゆるむ一因としても知られています。
アイプチやアイテープを長年使い続けた場合も、皮膚が引っぱられ続けてのび、線が定まりにくくなります。二重の幅や線が変わったまま戻らないときの考え方は、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。
一時的か、続くものか|見分ける目安

手がかりは2つです。いつ出るのか、そしてどのくらい続いているのか。
次のような出方であれば、一時的なものであることが多いです。
- 朝だけ、または疲れた日だけ出て、翌日には戻っている
- 寝不足やお酒、泣いたあとなど、きっかけに心当たりがある
- 両目に同じように出ている
- 出る日と出ない日がある
- 出てから、まだ数日しかたっていない
反対に、きっかけに心当たりがないまま、線が増えた状態が2〜4週間以上続いている場合は、まぶたの組織に変化が起きている可能性があります。一度、専門医に相談する目安と考えてください。
次のどれかに当てはまるときは、受診をおすすめします。
- 心当たりがないのに、2〜4週間以上続いている
- 片目だけ急に三重になって、戻らない
- まぶたが下がって見える、目が開けにくい
- 物が二重に見える
- 以前に埋没法を受けていて、少しずつ線が乱れてきた
このうち、急にまぶたが下がった、物が二重に見える、という場合は急いでください。まぶたそのものではなく、神経や筋肉の病気が関係していることがあります。まぶたの治療より先に原因を調べる必要があるので、様子を見ずに医療機関を受診してください。
自分でできる対処と、避けたいこと

一時的な三重まぶたであれば、特別なことをしなくても戻ることが多いです。ご自宅では、まぶたを休ませることを優先してください。
- 睡眠をしっかりとる
- 塩分とお酒を控える
- 目元を保湿して、乾燥させない
- 画面を見続けたら、ときどき目を閉じて休ませる
- メイクを落とすときは、こすらずになじませて流す
数日続けて、線が薄くなっていくかどうかを見てください。
反対に、避けていただきたいこともあります。
- 線を消そうとして、強くこする・引っぱる
- 自己流のマッサージで、まぶたを押したり流したりする
- アイプチやアイテープで、無理に1本の線に固定し続ける
気になると、つい指で線をなぞったり、皮膚を引き上げて確かめたりしたくなります。お気持ちはよくわかりますが、まぶたの皮膚は薄く、くり返し引っぱるとのびやすい場所です。
アイプチやアイテープでの固定も、その日の見た目は整います。けれども毎日続けると皮膚がのびて、かえって線が増えやすくなります。赤みやかゆみがあるときは、休ませてあげてください。
ここは正直にお伝えしておきます。すでにのびた皮膚や、減った脂肪、ゆるんだ腱膜を、セルフケアで元に戻すことは難しいです。ご自宅でできるのは、これ以上まぶたに負担をかけないことです。
三重まぶたの治療|原因ごとに方法が違います

戻りにくい三重まぶたで、見た目や見えにくさが気になる場合は、治療が選択肢になります。ただ、見た目は同じ三重まぶたでも、原因によって方法が変わります。
どの手術にも、腫れ・内出血・左右差などのリスクとダウンタイムがあります。切開をともなう手術では、大きな腫れが落ち着くまでに2週間から1ヶ月ほどかかる方が多く、経過には個人差があります。
眼瞼下垂が原因の場合
まぶたを開ける力が縁に伝わりにくくなっているなら、挙筋前転法(きょきんぜんてんほう)が基本になります。ゆるんだ腱膜を引き出して留め直し、目を開けやすくする手術で、視野がさえぎられるなど機能的な症状があれば保険適用になることが多いです。
保険適用(3割負担)の眼瞼下垂手術は、両目で3〜5万円程度が目安になります。見た目の改善が目的の場合は自費診療です。開ける力が縁に伝わるようになることで、線の乱れも整うことが期待できます。
余った皮膚のかぶさりが原因の場合
皮膚のたるみが主な原因なら、眉下切開法(まゆしたせっかいほう)が選択肢になります。眉のすぐ下で余った皮膚を切り取る方法で、機能の改善が目的の場合に保険適用になることがあり、見た目の改善が目的の場合は自費診療です。
目の形が変わりにくいのが特長です。傷跡は眉に隠れやすい位置になりますが、切る手術ですので傷跡そのものは残ります。保険で受けられるかどうかは、症状と受診する施設によって変わります。
線そのものを安定させたい場合
開ける力にも皮膚の余りにも大きな問題がなく、線が定まらないことが主なお悩みであれば、二重の線を作り直す方法があります。埋没法と切開法(せっかいほう)で、どちらも自費診療です。
埋没法は糸で留める方法で、腫れが少なくダウンタイムが短い反面、年数がたつと糸がゆるむことがあります。切開法は皮膚を切って線を作る方法で、線が長持ちしやすい一方、ダウンタイムは数週間と長めです。どちらも腫れ・内出血・左右差などのリスクがあり、効果には個人差があります。
くぼみが主な原因の場合
上まぶたのくぼみに対しては、一般にはヒアルロン酸注入や脂肪注入でボリュームを補う方法が行われています。いずれも自費診療で、腫れや内出血、左右差などのリスクがあり、効果の出方には個人差があります。
私自身は、異物を体内に注入することに抵抗があり、ヒアルロン酸注入は採用していません。ヒアルロン酸そのものを悪いと考えているわけではありませんので、ご相談があれば信頼できる医師をご紹介します。
Dr.やなの考え方|線を足す前に、原因を見ます
三重まぶたのご相談で、私がまず見るのは線そのものではありません。なぜその線ができたのか、という原因のほうです。
診察では、開ける力が縁まで伝わっているか、皮膚がどのくらい余っているか、上まぶたがどの程度くぼんでいるかを順に確かめます。過去の手術や、アイプチ、こする習慣についても伺います。
増えた線を消すには、線のまわりの皮膚を切り取ればよい、と考える方がいらっしゃいます。ここは慎重に考えたいところです。
上眼瞼(じょうがんけん:上まぶた)のまぶた側の皮膚は、薄い自然なふたえをつくるのに重要な皮膚になります。上まぶたのシワを改善する目的で、この薄い皮膚を切除すると、二重が腫れぼったい感じになる場合があります。
まぶた側の皮膚を切り取る手術は、上眼瞼除皺術(じょうがんけんじょすうじゅつ)と呼ばれます。自費診療が基本で、重度の場合は保険適用になることもあります。腫れ・内出血・左右差などのリスクとダウンタイムがあり、効果には個人差があります。
私は、上瞼のたるみ改善の基本は眉下で皮膚を切除して、瞼側は必要に応じて重瞼(じゅうけん)作成、つまり二重の線を作ることにとどめることで、自然な仕上がりになると考えています。
もうひとつ、順番のお話をさせてください。線が増えた原因が眼瞼下垂なのに、二重の線だけを作り直しても、開ける力は変わりません。視界が狭い、額に力が入るといった機能的な症状があるなら、保険適用の治療を先に検討します。
高額な手術へのご誘導は一切いたしません。むくみや疲れによる一時的な三重まぶたの方に、手術をおすすめすることもありません。メリットもデメリットも正直にお伝えして、必要最小限の治療をご提案するのが私のモットーです。
よくある質問
三重まぶたについて、よくいただくご質問にお答えしますね。
三重まぶたは珍しいものですか
珍しいものではありません。40代以降では皮膚のたるみやくぼみにともなって増えてきますし、20〜30代でも、寝不足や疲れが重なった日だけ出る方は多くいらっしゃいます。線の数そのものより、最近になって変わったのか、戻らずに続いているのかを見てください。
片目だけ三重になるのはなぜですか
まぶたの厚みや皮膚の余り方、開ける力は、もともと左右で少しずつ違います。寝ていた向きで片側だけむくむこともあり、片目だけ線が出て翌日には戻っている、ということはよくあります。ただ、片側だけ急に変わって戻らない場合や、まぶたが下がって見える場合は、早めに診察で確かめてください。
アイプチやアイテープで線を固定してもよいですか
予定のある日だけ使う程度であれば、大きな問題にはなりにくいと思います。おすすめしないのは、毎日続けて無理に1本の線に固定し続けることで、皮膚がのびて、かえって線が増えやすくなります。使っても線が戻らない状態が続いているなら、固定を強めるより先に、原因を確かめてください。
20代で三重になるのは、老化が早いということですか
そうとは限りません。20代の三重まぶたは、むくみ、寝不足、目の酷使、急な体重の減少、アイプチの折り癖といった一時的なきっかけによることが多いです。ただ、ハードコンタクトレンズを長く使っている方や、こする習慣がある方は、若くても眼瞼下垂が始まっていることがあります。
放っておくと悪くなりますか
一時的なものであれば、放っておいても戻ることが多いので、ご安心ください。たるみやくぼみによるものは、急に進むわけではなく、年単位でゆっくり変わっていきます。眼瞼下垂が原因の場合は、視界の狭さや額のシワ、肩こりや頭痛につながることがあるため、気になる症状があれば早めに確かめておくと安心です。
まとめ|三重まぶたは「いつから・どのくらい続くか」で考える
最後に、この記事の要点を整理します。
- 三重まぶたは、いつもの二重の線とは別の位置に折れ目ができて、線が増えて見える状態。珍しいものではない
- むくみ・乾燥・疲れ・急な体重減少・アイプチの折り癖によるものは、数日で戻ることが多い
- 皮膚のたるみ、上まぶたのくぼみ、眼瞼下垂、過去の二重手術、長年のこする習慣によるものは戻りにくい
- 心当たりがないまま2〜4週間以上続くなら、相談の目安。片目だけ急に変わって戻らない、まぶたが下がって見える、物が二重に見えるときは早めに受診する
- 強くこする、引っぱる、自己流のマッサージ、アイプチで固定し続けることは避ける
- 治療は原因ごとに違い、機能的な症状があれば保険適用を先に検討する
「三重まぶたの治し方」を探すと、たくさんの方法が出てきます。けれども、瞼が三重になる原因が人によって違う以上、合う方法も人によって違います。まずは、いつから出て、どのくらい続いているのかを確かめるところから始めてください。
効果や経過には個人差があります。ここでお伝えした内容は一般的な目安で、実際の判断には診察が必要です。正確な診断は、形成外科・眼科などの専門医にご相談ください。
まぶたのお悩みは、どんな小さなことでもかまいません。「手術が必要なのか、様子を見てよいのかだけ知りたい」というご相談も大歓迎です。無理な勧誘はいたしませんので、無料相談フォームからお気軽にお声がけください。



