Skip to main contentScroll Top

【医師監修】眼瞼下垂手術は医療費控除の対象?確定申告のやり方と対象になる費用を整理

「保険適用で眼瞼下垂の手術を受けたけど、医療費控除も使えるの?」

「確定申告なんて、やったことがなくて不安…」

「美容目的の手術だと対象外って聞いたけど、本当?」

眼瞼下垂(がんけんかすい)の手術を受けた方、これから受けようとしている方から、費用のご質問と同じくらい多くいただくのが、この医療費控除についてのご質問です。

手術を決めるだけでも大きな決断なのに、税金の話まで自分で調べるのは大変ですよね。

この記事は、形成外科専門医として20年以上まぶたの治療を専門に行ってきたDr.簗(やな)由一郎監修のもと、眼瞼下垂手術と医療費控除の関係を、国税庁が公表している情報をもとに整理してお伝えしますね。

先にお断りしておくと、私は医師であって、税の専門家ではありません。この記事では公的な情報に沿った一般的な整理までをお伝えし、個別のケースの最終判断は税務署や税理士さんに確認していただく、という線引きで正直に書いていきます。

そもそも医療費控除とは?1年間の医療費が一定額を超えたら税金が戻る仕組み

領収書と電卓とノートを並べた机のイラスト

医療費控除とは、1年間(その年の1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えたとき、所得税の負担を軽くしてもらえる制度です。確定申告をすることで、納めすぎた税金の一部が戻ってきます。

ポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 対象になるのは、その年の1月1日〜12月31日に支払った医療費
  • 自分の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族(家族)の医療費も合算できる
  • 控除できる金額の上限は200万円

控除額の計算は、国税庁の案内では次のようになっています。

支払った医療費の合計から、保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに10万円を差し引いた残りが控除額です。なお、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5パーセントを差し引きます。

つまり、ざっくり言えば「1年間の医療費が10万円を超えた分」が控除の対象になる、と考えていただくとイメージしやすいと思います。家族の通院費や歯の治療費なども合算できるので、手術を受けた年は超えるケースが多くなります。

「控除額」と「戻ってくる金額」は別物です

ここで、よくある誤解をひとつ解いておきますね。控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。

たとえば、1年間の医療費の合計が15万円で、保険金などの補てんがなかった場合。15万円から10万円を差し引いた5万円が、医療費控除の額になります。

戻ってくる税金は、この5万円に、その方の所得税の税率をかけたイメージの金額です。税率は所得によって変わるため、同じ5万円の控除でも、戻る金額は人によって違います。あわせて、翌年の住民税の負担が軽くなる効果もあります。

「思ったより少ない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。それでも、申告しなければゼロのままです。手続きの手間に見合うかどうかは、まず1年分の医療費を合計してみてから考えていただければと思います。

眼瞼下垂手術は医療費控除の対象になる?

医療費の領収書を手に考える女性のイラスト

ここが、いちばん気になるところだと思います。答えは「手術の目的によって分かれる」です。順にご説明しますね。

治療目的の手術は、対象になると考えられます

医療費控除の対象になるのは、国税庁の案内で「医師または歯科医師による診療または治療の対価」とされている費用です。

眼瞼下垂の手術で言えば、目が開けにくい・視界が狭い・目を開けようとして頭痛や肩こりが続く、といった機能的な症状を治すために受ける手術は、まさに「治療」です。視野の改善を目的として保険適用で受けた眼瞼下垂手術は、治療のための医療費として、医療費控除の対象になると考えられます。

保険適用になったこと自体が、「これは治療である」と医学的に判断された分かりやすい目安になる、と言ってよいと思います。

美容目的の手術は、対象外とされています

一方で、国税庁は「容姿を美化し、または容ぼうを変えるための費用」は、疾病の治療のための費用に当たらず、医療費控除の対象にならないという考え方を示しています。

つまり、目を大きく見せたい・二重の形を整えたいといった、見た目の変化を目的とした手術の費用は、医療費控除の対象外です。これは二重整形の埋没法(まいぼつほう)や切開法にもあてはまります。

自費診療=対象外、と機械的に決まるわけではありません

「じゃあ、自費で受けたら全部対象外なの?」と思われるかもしれません。ここは丁寧にお伝えしたいところです。

医療費控除の物差しは、保険か自費かではなく、治療のための費用かどうかです。ですから、自費で受けた施術がすべて自動的に対象外になる、というわけではありません。

ただし、治療目的かどうかの判断は個々の事情によって変わりますし、最終的に判断するのは医療機関ではなく税務署です。自費診療の費用を医療費控除に含めたい場合は、申告の前に税務署や税理士さんに確認していただくことを強くおすすめします。

なお、保険適用と自費診療の違いそのものについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。

対象になる費用・ならない費用

領収書を二つに仕分けしている手元のイラスト

眼瞼下垂の治療にともなう費用を、対象になるもの・ならないものに分けて整理しますね。

対象になると考えられる費用の例は、次のとおりです。

  • 手術費用(治療目的のもの)
  • 手術前後の診察費・検査費
  • 処方された薬代
  • 通院のための電車・バスなど公共交通機関の交通費

一方、対象にならない費用の例は、次のとおりです。

  • 美容目的の手術・施術の費用
  • 自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車場代
  • タクシー代(電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除く)

通院の交通費が対象になるのは、意外と知られていないポイントです。電車やバスの運賃は領収書が出ないことが多いので、通院した日付・経路・金額をメモで記録しておくと、申告のときに困りません。

つまずきやすいポイントを2つだけ

実際に計算するとき、患者さんが迷いやすいポイントを2つ、先にお伝えしておきますね。

ひとつめは、年をまたいだ支払いです。医療費控除の対象は「その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費」です。たとえば12月に手術を受けて、支払いが翌年1月になった場合、その費用は翌年分の医療費として計算します。「治療を受けた日」ではなく「支払った日」で区切る、と覚えてください。

ふたつめは、合算できる家族の範囲です。「生計を一にする」家族の医療費は合算できますが、この範囲は必ずしも同居に限られないとされています。仕送りをしているご家族なども含まれる場合がありますので、迷ったら税務署に確認していただくのが確実です。

高額療養費や給付金を受け取った場合は、その分を差し引きます

給付金の書類と貯金箱を並べたイラスト

医療費控除の計算では、保険金などで補てんされた金額を医療費から差し引く決まりになっています。

国税庁の案内では、差し引く例として、生命保険契約などで支給される入院費給付金や、健康保険などで支給される高額療養費などが挙げられています。

眼瞼下垂手術に当てはめると、たとえば次のようなケースです。

  • 加入している生命保険・医療保険から手術給付金を受け取った
  • 健康保険の高額療養費として払い戻しを受けた

こうした金額がある場合は、受け取った分を差し引いた残りが医療費控除の計算に入ります。「もらった分を引く」と覚えていただければ大丈夫です。なお、差し引くのはその給付の目的となった医療費の金額までとされています。

確定申告のやり方|会社員でも自分での申告が必要です

机で申告の書類に記入する女性のイラスト

医療費控除は、会社の年末調整では処理されません。会社員の方でも、ご自身で確定申告(還付申告)をする必要があります。

流れはシンプルです。

  • 1年分の領収書や交通費のメモを集めて、医療費の合計を出す
  • 領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成する
  • 確定申告書に明細書を添付して提出する(税務署の窓口・郵送・オンラインのe-Tax)

いくつか、知っておくと安心なポイントもお伝えしますね。

  • 領収書そのものは提出不要ですが、確定申告期限等から5年を経過する日までは自宅で保存しておく決まりです
  • 税金が戻る「還付申告」は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。「去年の手術、申告し忘れた」という方も、さかのぼって申告できます
  • 申告の細かい書き方は、税務署の相談窓口や国税庁のホームページで案内されています

「5年間さかのぼれる」という点は、ぜひ覚えておいてください。過去に保険適用で眼瞼下垂手術を受けたのに医療費控除をしていなかった、という方は、今からでも間に合う可能性があります。

申告前に手元にそろえておきたいもの

申告の準備として、次のものを手元に集めておくとスムーズです。

  • 医療機関の領収書(手術・診察・薬局のもの)
  • 通院の交通費のメモ(日付・経路・金額)
  • 保険会社からの給付金や高額療養費の通知(受け取った金額が分かるもの)
  • 勤務先の源泉徴収票(申告書の作成に使います)

手術を受けると決めた時点から、封筒をひとつ用意して領収書を全部入れておく。これだけで、年明けの申告がずいぶん楽になります。これから手術を受ける方は、ぜひ今日から始めてみてください。

Dr.やなが費用についてお伝えしたいこと

私が20年以上まぶたの治療を続けてきて感じるのは、費用の不安が、治療への一歩をためらわせているケースがとても多いということです。

だからこそ私は、機能的な症状がある方には、まず保険適用での治療を積極的に検討します。保険適用(3割負担)の場合、眼瞼下垂手術の自己負担は両目で35,000円〜45,000円程度が目安です。そのうえで、医療費控除のような公的な仕組みを使えば、負担はさらに軽くできる可能性があります。

高額な手術へのご誘導は一切行いません。本当に必要な治療を、適正な料金で受けていただくことが何より重要だと考えています。技術だけでなく、費用の面でも患者さんの役に立ちたい。これが私の変わらない思いです。

よくある質問

医療費控除について、患者さんからよくいただくご質問にお答えしますね。

保険適用で受けた眼瞼下垂手術なら、必ず医療費控除できますか?

治療目的で保険適用となった手術の費用は、医療費控除の対象になると考えられます。ただし、控除が実際に受けられるかは、その年の医療費の合計額や所得によって変わります(合計が基準額を超えない年は控除になりません)。個別の判断は税務署にご確認ください。

二重にする埋没法の費用は医療費控除の対象になりますか?

見た目を整えることを目的とした二重整形は、美容目的の費用として医療費控除の対象外とされています。一方、まぶたの機能的な症状の治療として行われる手術は考え方が異なります。ご自身のケースがどちらに当たるか迷う場合は、税務署に確認していただくのが確実です。

家族の医療費もまとめて申告できますか?

生計を一にするご家族の医療費は合算できます。ご本人の手術費用に、ご家族の通院費や薬代を合わせると基準額を超える、というケースはよくあります。ご家庭単位で1年分をまとめて計算してみてください。

眼瞼下垂の手術以外の医療費も、一緒に計算してよいのですか?

かまいません。医療費控除は、病気やケガの種類、診療科を問わず、その年に支払った医療費全体で計算する仕組みです。眼瞼下垂の手術費用に、風邪の受診や歯の治療、ご家族の通院なども合わせて、1年分をまとめて計算してください。

医療費控除を使うと、いくら戻ってきますか?

戻ってくる金額は、医療費の額だけでなく、その方の所得や税率によって変わるため、一概にお答えできません。控除額の計算方法は国税庁のホームページで案内されていますので、正確な金額は税務署や税理士さんにご相談ください。

夫婦共働きです。どちらが申告するのがよいですか?

医療費控除は、医療費を実際に支払った方が受ける仕組みとされています。そのうえで、生計を一にするご夫婦の場合、家計からの医療費をどちらがまとめて支払い申告するかで税負担が変わることがあり、一般的には所得の高い方がまとめたほうが控除の効果が大きくなる場合が多いと言われています。ご家庭に合った申告のしかたは、税務署や税理士さんに確認していただくのが確実です。

まとめ|治療目的の眼瞼下垂手術なら、医療費控除まで活用を

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 医療費控除は、1年間の医療費が一定額(多くの場合10万円)を超えたときに税金が戻る制度
  • 治療目的の眼瞼下垂手術(保険適用の手術など)は、医療費控除の対象になると考えられる
  • 美容目的の手術は対象外とされている。物差しは「保険か自費か」ではなく「治療のための費用かどうか」
  • 通院の公共交通機関の交通費も対象。家族の医療費も合算できる
  • 会社員でも確定申告が必要。還付申告は翌年1月1日から5年間さかのぼれる

なお、この記事は国税庁が公表している情報をもとにした一般的な整理です。税の制度は変わることがありますし、個別のケースの最終判断は、税務署・税理士さんにご確認ください。

そして、まぶたの症状そのものについては、私たち専門医の出番です。効果や経過には個人差があります。目の開けにくさや視界の狭さでお困りの方は、保険適用の可能性も含めて、形成外科などの専門医にご相談ください。

「自分の場合は保険でできるのか」「費用がどのくらいかかるのか知りたい」というご相談も大歓迎です。無理な勧誘はいたしませんので、無料相談フォームからお気軽にお声がけください。

眼瞼下垂手術後の過ごし方や仕事復帰の時期が気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

まぶた手術を得意とする形成外科Dr.簗(やな)由一郎

監修:簗 由一郎

形成外科専門医の簗(やな)由一郎です。眼瞼下垂などの「まぶたの手術」を専門に、埼玉・東京の医療機関で診療しています。20年以上の経験と技術で、自然で負担の少ない治療を心がけています。お悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

更新情報

About

形成外科専門医Dr.やなが運営する、まぶた・目の下のたるみ・クマ・眼瞼下垂治療の専門WEBメディア。埼玉・東京・茨城の10院以上で、目の下のたるみ取り・クマ取り・眼瞼下垂手術を専門に保険適用で治療します。自費の場合も、なるべく負担のないように低価格で医療をご提供したいと思い、まぶたの悩み専門メディアを立ち上げました。