「目の下のたるみが気になるけど、保険で治療ができるの?」
「まわりは手術が保険適用だったって聞いたんだけど…」
「このたるみのせいで見た目が気になる。でも高額だと無理…」
そんな心配を抱えている方へ。実は目の下のたるみ取りについては、間違った情報が流れていることが少なくありません。
この記事では、形成外科専門医として20年以上にわたってまぶたと目元の治療を行ってきた私、簗(やな)由一郎が、目の下のたるみ取りの保険適用について、正確な情報をお伝えします。読み終えた頃には、あなたの選択肢が明確になっているはずです。
も く じ
Toggle目の下のたるみ取りは原則「保険適用外」

まず重要なポイントからお伝えします。
目の下のたるみ取り治療(下眼瞼脱脂など)は、原則として保険適用にはなりません。
なぜなら、これらの治療は:
- 美容目的の治療に分類される
- 日常生活に機能的な支障をきたさない
- 視野の悪化などの機能的問題がない
ため、保険の適用基準を満たさないからです。
保険適用の基本的な考え方
健康保険が適用される治療は、以下が大原則。
- 病気や怪我による障害の治療
- 日常生活に支障をきたしている状態の改善
目の下のたるみは、どんなに見た目が気になっても、「日常生活の機能に支障をきたさない」ため、美容目的の治療として扱われます。
保険適用になる「まぶたの手術」との違い

「友人が眼瞼下垂で保険適用だったけど、私のたるみも…」と思われる方のために、詳しく違いを説明しますね。
保険適用になる眼瞼下垂(上まぶた)
条件:
- 上まぶたが目にかぶさり、視野が狭くなっている
- 頭痛・肩こりなどの症状がある
- 物を見る時に顎を上げるなどの代償動作が必要
費用: 3割負担で両目約35,000円〜45,000円
保険適用にならない目の下のたるみ
理由:
- 視野に直接影響しない
- 痛みや機能障害がない
- 美容上の悩みが主な問題
費用: 15万円〜30万円程度(自費診療)
目の下のたるみ取りの治療法と費用

では、実際にどんな治療法があり、費用はどの程度かかるのか見ていきましょう。
1. 下眼瞼脱脂(経結膜脱脂)
方法:
- まぶたの裏側から眼窩脂肪を除去
- 皮膚表面に傷跡が残らない
- 手術時間:片目15分、両目30分程度
費用: 15万円〜25万円(一般的な相場)
メリット:
- 半永久的な効果
- 傷跡が見えない
- ダウンタイムが比較的短い
2. 下眼瞼切開法(切開法)
方法:
- まぶたの下を切開
- 余分な皮膚と脂肪を同時に除去
- まぶたに細かなシワがある方におすすめ
費用: 20万円〜35万円程度
メリット:
- 皮膚のたるみも同時に改善
- 効果が長期間持続
デメリット:
- 傷跡が残る(徐々に目立たなくなる)
- ダウンタイムがやや長い
3. ヒアルロン酸注入
方法:
- たるみによるくぼみにヒアルロン酸を注入
- 施術時間:10〜15分程度
費用: 5万円〜15万円程度
メリット:
- 即効性がある
- ダウンタイムが最小限
デメリット:
- 効果が一時的(6ヶ月〜1年)
- 根本的な解決にならない
Dr.やなから見た「賢い選択」のポイント

20年以上の経験から、患者さんにお伝えしたい重要な点があります。
まずは原因を正確に把握する
目の下のたるみには、いくつかの原因があります。
- 眼窩脂肪の突出(最も一般的)
- 皮膚のたるみ
- 筋肉の衰え
- 骨格的要因
原因によって最適な治療法が変わるため、まずは専門医の診断を受けることが重要です。
保険適用の可能性を諦めない
目の下のたるみ自体は保険適用外ですが、以下のような場合は相談する価値があります。
- 涙袋の奥に腫瘍がある
- 下眼瞼内反症(まつ毛が目に当たる)
- アレルギー性皮膚炎による腫れ
これらは保険適用になる可能性があります。
料金の比較検討をしっかりと
美容医療は自費診療のため、クリニックによって料金に大きな差があります。
注意点:
- モニター価格に惑わされない
- 追加料金の有無を確認する
- アフターケアの費用も含めて検討する
ダウンタイムと術後経過

それぞれの治療法のダウンタイムを比較してみましょう。
経結膜脱脂(切らない方法)
1週間まで:
- 腫れ:軽度〜中程度
- 内出血:青紫色から黄色へ変化
2週間まで:
- 日常生活:ほぼ問題なし
- メイク:1週間後から可能
1ヶ月後:
- 最終的な仕上がりに近づく
下眼瞼切開法(切る方法)
1週間まで:
- 腫れ:中程度〜強い
- 内出血:やや目立つ
- 抜糸:5〜7日後
2週間まで:
- 傷跡:赤みが残る
- メイク:傷口以外は可能
1ヶ月後:
- 傷跡:化粧でカバー可能
- 腫れ:ほぼ落ち着く
よくある質問と回答

ここで、よくあるご質問にお答えしましょう。
Q1:本当に保険適用にならないの?
A:一般的な目の下のたるみ(眼窩脂肪の突出によるもの)は、保険適用になりません。ただし、腫瘍性疾患やアレルギー性炎症など、病気が原因の場合は保険適用の可能性があります。
Q2:保険適用のクリニックを探せば見つかる?
A:残念ながら、目の下のたるみ取りで保険適用を行っているクリニックは、基本的にありません。「保険適用可能」と謳っているクリニックは、診断書の不正記載などの問題がある可能性もあります。
Q3:支払いは一括のみ?
A:多くのクリニックで医療ローンが利用可能です。月々数千円からの分割払いができることが多いので、無理のない範囲で治療を受けることができます。
Q4:再発することはある?
A:適切な手術であれば、基本的に再発はありません。ただし、加齢による変化は続くため、10〜15年後に新たなたるみが出ることはあります。
まぶた治療を決断する前のチェックリスト

以下の点を確認してから治療を決定することをおすすめします:
□ 複数のクリニックでカウンセリングを受けた
- 少なくとも2〜3箇所で意見を聞く
- 治療方法の提案内容を比較する
□ 料金の内訳を詳しく確認した
- 手術費用
- 麻酔代
- アフターケア費用
- 再診料
□ ダウンタイムの予定を調整した
- 重要な予定を避ける
- 術後の通院日程を確保
□ リスクとデメリットを理解した
- 内出血・腫れの期間
- 左右差の可能性
- 稀な合併症について
まとめ:正しい情報で後悔のない選択を

目の下のたるみ取りは保険適用外の治療ですが、多くの方が満足のいく結果を得ています。重要なのは:
- 正確な情報を得る
- 保険適用への過度な期待を持たない
- 複数のクリニックで意見を聞く
- 納得のいく治療法を選ぶ
- 予算と希望効果のバランスを考える
- ダウンタイムを十分に考慮する
- 信頼できる医師を選ぶ
- 形成外科専門医の資格を確認
- 症例写真や実績を見る
私は20年以上、まぶたと目元の治療を専門に行ってきました。目の下のたるみは確かに保険適用外ですが、適切な治療で大きく印象を改善することができます。
「保険適用にならないから諦める」のではなく、「自分にとって最適な治療は何か」を考えていただければと思います。どんな小さな悩みでも、お気軽にご相談ください。