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【医師監修】眼瞼下垂と白内障手術どちらが先?治療のポイント

「眼瞼下垂に白内障まで重なった…」
「まぶたが重くて視界もぼやける…」

目の問題を複数抱えている状況では、日常生活のあらゆる場面で支障を感じているのではないでしょうか。「年齢的に仕方がない…」と諦めがちな方も多いですが、現在はどちらの症状も治療の選択肢があります。

Dr.やなは形成外科専門医として年間100件以上の眼瞼手術を行ってきました。その中で、眼瞼下垂と白内障を併発した患者さんは、まず詳しい診察により、個々の状態に応じた治療方針を検討することが大切だと考えています。

本記事では、主に眼瞼下垂と白内障の両方でお悩みの方に、それぞれの症状から、手術はどちらが先かなどの見解について、専門的な知識をわかりやすく解説します。

眼瞼下垂と白内障それぞれの症状は?

眼瞼下垂と白内障の症状を調べる

まず眼瞼下垂(がんけんかすい)と白内障は、どちらも視界に影響を与える疾患ですが、症状の現れ方は大きく異なります。

まぶたが下がる眼瞼下垂は上方の視野が狭くなることが主症状である一方、水晶体が濁る白内障は視界のかすみや眩しさが特徴的です。それぞれ詳しく解説します。

眼瞼下垂の症状について

眼瞼下垂とは、まぶたを上げる筋肉や腱膜が弱くなることで、上まぶたが下がってしまう状態を指します。加齢やハードコンタクトレンズの長期使用、花粉症やアトピーでまぶたを擦る習慣などが原因となることが多いです。

多くの方が最初は気づかず、徐々に進行して中等度になってから受診されるケースが目立ちます。眼瞼下垂の主な症状は以下の通りです。

症状分類現れる可能性のある症状
視覚症状上方の視野が狭くなる、見上げるのが難しい
外見の変化眠そうな印象、眉毛の位置が高くなる、額のしわ増加
代償動作顎を上げて物を見る、前頭筋を使って眉を上げる
身体への影響頭痛、肩こり、眼精疲労など

※症状には個人差があります。

白内障の症状について

白内障とは、目の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気で、加齢が最も大きな原因となります。年齢とともに発症しやすくなり、高齢になると多くの方に何らかの白内障の症状が見られる傾向があります。

白内障は痛みや充血などの症状は基本的にありません。そのため、初期では自覚症状が少なく、進行してから気づくケースも多いです。主な症状は以下の通りです。

症状分類現れる可能性のある症状
視力変化視界のかすみ、全体的にぼやける、視力の低下
光の影響光の乱反射、通常の眩しさ、夜間の眩しさ
見え方の異常物の二重・三重視、色調の変化(黄色っぽく見える)
生活への影響メガネで矯正しても改善されない、夜間の運転が困難

※症状には個人差があります。

夜間の車の運転中に、対向車のヘッドライトが通常より眩しく感じる場合は、白内障の症状の1つとして考えられます。

同時に患っている場合の影響

眼瞼下垂と白内障を同時に患っている場合、それぞれ単独の疾患よりも視覚への影響が大きくなる場合が多いです。

まぶたが下がることで上方の視野が制限される上に、水晶体の濁りによって残された視界もかすんで見えにくくなるためです。

そして、なにより日常生活での支障が目立って現れることがあります。階段での足元確認、車の運転時の信号や標識の視認、読書や細かい作業など、さまざまな場面で困難を感じる方も多いでしょう。

眼瞼下垂と白内障両方の疾患を抱えていて、気になる症状があれば医師への早めの相談をおすすめします。

眼瞼下垂と白内障手術はどちらが先?

眼瞼下垂と白内障手術はどちらが先か

両方の手術を検討している場合、一般的には眼瞼下垂手術を先に行うことが多いとされています。ただし、症状の程度や個々の状況によって最適な順序は異なるため、医師と十分な相談が必要です。

なぜ眼瞼下垂手術を先にするのか?

多くの医師が眼瞼下垂手術を優先する背景には、医学的な理由があります。これは、まぶたの手術後に目の屈折状態に変化が生じ、白内障手術で選ぶ眼内レンズの度数に影響する可能性があるためです。

眼瞼下垂の手術では、まぶたを上げる筋肉や腱膜の調整を行いますが、この際にまぶたの重さや張力の変化により、乱視などの眼の屈折状態が変わることがあります。

特に重度の眼瞼下垂で、術後にまぶたがしっかりと上がる場合、その変化はより目立って現れる傾向があります。

この屈折変化が安定した後に白内障手術を計画するのが望ましいと考えられています。

同時手術が避けられるその他の理由

技術的には両方の手術を同時に行うことは可能ですが、それぞれが異なる専門性を求められる手術であり、同時実施が避けられる背景には以下のような課題もあるためです。

要因詳細
手術時間長時間になり患者さんの負担が増える
麻酔管理異なる部位への麻酔で管理が複雑になる
術後管理問題が発生した時の原因を特定しにくい

眼瞼下垂手術は通常30~60分、白内障手術は10~30分程度と、どちらも比較的短時間で完了しますが、安全性を最優先に考えた上で分けて実施する医療機関が多いのが現状です。

また、医師がそれぞれの手術に集中できる点もメリットの1つと考えられるでしょう。

実際、手術の順序はどのように決まる?

実際の手術順序は、基本的な方針はありつつも、眼瞼下垂と白内障の各症状の程度、患者さんの状況などを総合的に判断して決定します。一般的に、判断時に考慮される要素は以下を参考にしてください。

  • 症状の重篤度:より日常生活に支障をきたしている方を優先する
  • 進行スピード:急速に進行している症状への対応を優先する
  • 患者さんの年齢や体力:複数回の手術が可能かどうかを慎重に評価する
  • 生活スタイル:職業や趣味による視力への要求度を考慮する
  • 医療機関の体制:執刀医の専門性、実績や経験を考慮する

※医院により異なります。

たとえば、眼瞼下垂の症状が軽度で主に皮膚のたるみなどが原因の場合、屈折への影響が限定的なため、白内障手術を先に行っても問題ない場合があります。また、白内障が進行していて視力の低下が大きく、かつ眼瞼下垂が軽度な場合は、視力の回復を優先して白内障手術を先に行う場合もあります。

ただし、これらの判断には、両方の疾患についてしっかりと検査を受け、専門性の高い執刀医の経験が欠かせません。信頼できる医師の実績のもと、適切な期間を空けて段階的に治療を進めることで、良好な回復を目指せるでしょう。

【参考】白内障手術後に眼瞼下垂が生じる可能性

白内障手術後に眼瞼下垂のおそれ

ここまで眼瞼下垂と白内障を同時に患っている場合について解説してきましたが、ここでは白内障手術後に眼瞼下垂が生じる可能性について触れておきます。

白内障手術は安全で成功率の高い治療ですが、まれに術後にまぶたが下がる眼瞼下垂が発症することがあります。

この現象は医学的にも確認されており、白内障手術後の眼瞼下垂発症について複数の報告があります。また、術前から眼瞼挙筋機能が低下している方で発症頻度が高くなることが知られています。

もし症状が現れた場合でも治療の選択肢があるため、術後の状態変化を把握しておくことが重要です。

なぜ白内障手術後に眼瞼下垂が起こる?

白内障手術後の眼瞼下垂発症については、複数の要因が関与していると考えられています。手術そのものが直接的な原因となるケースと、もともと持っていた潜在的な問題が顕在化するケースがあります。

眼瞼下垂の発症に関わる要因は以下の通りです。

分類具体的な要因
手術関連開瞼器による長時間の圧迫、術後の炎症
術後の変化腫れや炎症による組織への負荷
組織の状態もともとの腱膜の緩み、筋力低下
患者さんの背景高齢、ハードコンタクト使用歴

注目すべきは、白内障手術を受ける年代の方では、加齢に伴う眼瞼挙筋腱膜やミュラー筋の変化がすでに始まっていることが多い点です。手術がきっかけとなり、これまで症状として現れていなかった眼瞼下垂が表面化する場合があります。

また、長期間ハードコンタクトレンズを使用していた方では、レンズの着脱時にまぶたへの負担が蓄積されており、手術後に眼瞼下垂として症状が現れやすくなる傾向があります。

手術後こんな症状があったら眼瞼下垂?

白内障手術後の眼瞼下垂は、手術直後に現れることもあれば、時間をかけてゆっくりと進行することもあります。視力が改善した喜びで見落とされがちですが、以下の変化に気づいたら注意が必要です。

  • 無意識に眉を上げて物を見ている
  • 上を見上げる動作がしづらくなった
  • 頭痛や肩こりが以前より強くなった
  • 鏡で見て左右のまぶたの開く大きさが違う
  • 前よりまぶたが下がっているように見える

これらの症状は、白内障手術による視力改善とは対照的に現れるため、患者さん自身が関連性に気づきにくいことがあります。上記の変化のほかに、手術前の写真と現在の状態を比較して、大きく違和感を覚えるようであれば、早めの受診をおすすめします。

症状に気づいたら迷わず相談を

眼瞼下垂が確認された場合、症状の程度に応じて治療方針が決定されます。軽度であれば経過観察となることもありますが、日常生活に支障をきたす場合は手術治療も検討されるでしょう。

白内障手術後の眼瞼下垂は予期しない変化かもしれませんが、現在では適切な治療の選択肢が用意されています。

術後の定期検診では視力だけでなく、まぶたの変化についても観察し、気になる症状があれば積極的に相談することで、目の健康を長く維持できるでしょう。

まとめ|早めの受診が快適な視界の第一歩

まぶた手術を得意とする 形成外科Dr.簗(やな)

眼瞼下垂と白内障を同時に抱えている場合、どちらを先に治療するのか疑問を持たれる方も多いでしょう。この記事を通じて、おおよその手術の流れやそれぞれの症状が生活に与える影響について、ご理解いただけたのではないでしょうか。

くれぐれも、両疾患とも年齢と共に進行する傾向があり、放置することで日常生活の質が徐々に低下していきます

「まだそれほど困っていないから」「年齢的に仕方がない」と感じている方も多いかもしれません。しかし、視界の問題は転倒リスクの増加や、頭痛・肩こりなどの二次的症状を引き起こすおそれもあります。

ここで大切なのは、現在の生活への影響を1日も早く改善し、これからの時間をより充実して過ごすことではないでしょうか。まずは詳しい検査により、あなたの眼瞼下垂と白内障の状態を正確に把握することから始めてみてください。

早期の受診により、治療の柔軟性が広がり、それが良好な結果につながっていきます。勇気を持って一歩を踏み出すことで、明るく鮮明な視界を取り戻すことが期待できるでしょう。

Dr.やなの監修コメント

眼瞼下垂と白内障を併発されている患者さんは、眼瞼下垂の手術を先行させることが多いですが、記事にもあった通り、症状の程度や患者さんの状況によって最良の判断は変わります。

治療においては、機能の回復を第一に考えることです。視野の拡大などを通じ、まず健康で実用的な日常生活を取り戻していただくことが大事です。

私自身、形成外科・美容外科医である前に、何よりも患者さんの心に寄り添う1人の医師として日々診療をしています。症状でお悩みの方は1人で抱え込まず、お気軽にお声かけください。正確な診断と治療計画により、改善への道筋が見えてくるはずです。

まぶた手術を得意とする形成外科Dr.簗(やな)由一郎

監修:簗 由一郎

形成外科専門医の簗(やな)由一郎です。眼瞼下垂などの「まぶたの手術」を専門に、埼玉・東京の医療機関で診療しています。20年以上の経験と技術で、自然で負担の少ない治療を心がけています。お悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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形成外科専門医Dr.やなが運営する、まぶた・目の下のたるみ・クマ・眼瞼下垂治療の専門WEBメディア。埼玉・東京・茨城の10院以上で、目の下のたるみ取り・クマ取り・眼瞼下垂手術を専門に保険適用で治療します。自費の場合も、なるべく負担のないように低価格で医療をご提供したいと思い、まぶたの悩み専門メディアを立ち上げました。