「あれ?目が小さくなった?」「なんか眠そうに見える…」「目つきが悪くなったかも…」朝の身支度で鏡を見る度、そんな違和感を覚えていませんか。
若い頃は一重でもすっきりしていたのに、いつの間にかまぶたが重たく垂れ下がって、疲れた印象になってしまった…。年齢を重ねて、多くの一重まぶたの方が同じような変化に戸惑っています。
「アイメイクでなんとかしよう!」と試行錯誤しても、根本的な解決にはならず、かえってメイク時間が長くなるばかりです。マッサージしても改善しない、美容液を使っても変化がないと悩んでいる女性も多いでしょう。
形成外科専門医のDr.やなは、日々の診療で「一重だからたるみが目立つのですか?」「二重にしないとダメですか?」といった相談をよく受けます。世間には、一重まぶたの構造を理解せずに、不適切な治療を受けて後悔される方も多いため、正しい情報をお伝えしたいと常々感じています。
この記事では、一重まぶたのたるみが起こる8つの原因を詳しく解説すると共に、その解消方法までご紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
も く じ
Toggle一重まぶたのたるみが起こる8つの原因

一重まぶたの方が感じる目元のたるみには、皮膚や筋肉の変化から日常的な習慣まで、複数の原因が絡み合っています。年齢を重ねるにつれて「以前より目が小さく見える…」などと感じるのは、多くの方が経験していることです。
それでは早速、一重まぶたにたるみが起こる8つの原因を詳しく見ていきましょう。
加齢によるコラーゲン等の減少
20代後半から徐々に、40代にかけてまぶたの皮膚を支えるコラーゲンやエラスチンが急激に減少していきます。これらの成分は皮膚のハリと弾力を保つ役割を担っているため、不足すると皮膚がたるみやすくなります。
一重まぶたの場合、もともと皮膚が厚めの構造になっていることが多く、コラーゲンの減少による影響をより感じやすい傾向があります。特に目を開けたときに皮膚が重なりやすい部分では、たるみが目立ちやすいでしょう。
【コラーゲン減少による変化】
- 皮膚の弾力性が失われる
- まぶたの皮膚が下がってくる
- 目元の印象が重たくなる
- 疲れた印象を与えやすくなる
実は、コラーゲンの減少は見た目だけでなく、まぶたの機能にも影響を与える場合があります。皮膚の弾力性が低下することで、まぶたを支える力が弱くなり、眼輪筋への負担が増えることもあります。
眼瞼下垂による影響
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、まぶたを持ち上げる筋肉や腱膜に問題が生じて、まぶたが正常な位置まで上がらなくなる状態です。
年齢とともに腱膜が伸びたり外れたりすることで起こる「後天性眼瞼下垂」は、中高年以降の方に多く見られ、特に60代以降で発症頻度が高くなります。
一重まぶたの方は、まぶたの構造上、軽度の眼瞼下垂では自覚症状が現れにくい場合があります。しかし、症状が進行すると、たるみとして現れ、視野が狭くなったり頭痛などの要因にもなります。
眼瞼下垂の進行はゆっくりで、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。写真を見比べてみると、数年前と比べて目の開き方が変わっていることに気づく場合も多いです。
また、無意識に眉毛を上げて目を開こうとするため、おでこのしわが深くなることもあります。
眼瞼下垂の予防方法や進行のケアについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
目の周りの筋肉の衰え
まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)や目の周りの筋肉(眼輪筋)は、使わないと徐々に衰えていきます。筋肉が衰えると、まぶたを正常な位置で保つ力が弱くなり、皮膚が下がってくることがあります。
【筋肉の衰えによる症状】
- まぶたが重く感じる
- 目を開けるのに力が必要になる
- 眉毛を上げて目を開こうとする
- 額にしわができやすくなる
また、筋肉の衰えは左右差を生みやすく、片方だけたるみが目立つケースもよく見られます。
まぶたを上げる主要な筋肉である眼瞼挙筋は、意識的にトレーニングすることが可能です。ただし、トレーニングは主に予防効果を目的とし、すでに症状がある場合の改善には限界があります。
トレーニングには、眉毛を固定して眼瞼挙筋のみを使ってまぶたを開閉する方法などがあります。
一重まぶたの構造的特徴による影響
一重まぶたは二重と比べて、皮膚の厚みや脂肪の付き方に違いがあります。二重のラインがないため、加齢によってたるんだ皮膚が、そのまま目の上に覆いかぶさりやすい構造になっているのです。
また、上まぶたの脂肪が多めについている傾向があり、重力によってその脂肪が下に引っ張られることで、たるみが生じやすくなります。
たるみ方には個人差があり、目頭側からたるむ方もいれば、目尻側から始まる方もいます。さらに、まぶたの厚さも左右で微妙に違うことが多く、それがたるみの非対称性につながることもあります。
一方、骨格によっても影響の受け方が変わり、眼窩(がんか)が深い方はたるみが目立ちにくい場合もあります。
※眼窩とは、頭蓋骨の中で眼球を収める骨のくぼみのことです。
紫外線でまぶたの皮膚が老化
一重に限らず、まぶたの皮膚は顔の中でも薄く、紫外線の影響を受けやすい部位です。紫外線A波(UVA)は真皮まで達し、様々なダメージを与えます。
室内にいても窓ガラス越しに紫外線が届くため、長時間窓際で過ごす場合は、まぶたへの影響を考慮することが大切です。
【紫外線による皮膚への影響】
- 皮膚の弾力性が低下する
- しわやたるみの原因となる
- コラーゲンにダメージを与える
- メラニンが増加する(色素沈着)
サングラスをかける習慣が少ない場合、まぶたに紫外線ダメージを受けやすいです。また、夏のプールや海辺では水面からの反射光も強く、普段より多くの紫外線を浴びるため要注意です。
車の運転中も窓から差し込む紫外線により、片側に多くの紫外線を浴び続けるため、影響に左右差が生じる場合があります。
スマホやパソコンによる目の酷使
長時間のデスクワークやスマホの使用により、現代人の目は酷使されがちです。画面を見つめ続けることで、目の周りの筋肉が凝り固まったり、ピント調節を行う毛様体筋が疲労したりします。
これらの変化は目の周りの血流悪化につながります。血流が悪くなると、まぶたの皮膚に必要な栄養が届きにくくなり、老化が進むおそれがあるのです。
また、画面に集中することで起こる「瞬き不足」が、目の乾燥や疲労の主要な原因となります。涙の分泌が減ることで、まぶたの皮膚も乾燥しやすくなってしまうのです。
加えて、暗い場所での画面使用は、明暗の差により虹彩筋(瞳孔括約筋・瞳孔散大筋)に負担をかけ、目の疲労を増大させる場合があります。
※虹彩筋(こうさいきん)とは、眼の虹彩内にある平滑筋で、瞳孔の大きさを調節して眼に入る光量をコントロールする筋肉です。
アイメイクによる日常的な摩擦
毎日のアイメイクや、特にクレンジング時の摩擦は、デリケートなまぶたの皮膚に大きな負担をかけています。アイシャドウを塗るときの指の圧力や、マスカラを落とすときのこすり洗いが、皮膚の弾力に影響を与えるのです。
一重まぶたの方の中には、目を大きく見せようとアイメイクに時間をかけることも多く、その分摩擦の回数も増えがちです。また、ウォータープルーフのコスメを使用している場合は、落とすときにより強い力が必要になることも問題となります。
【アイメイクによる摩擦の影響】
- 皮膚の薄い部分に物理的ダメージを与える
- コラーゲンを分解する酵素の活性が高まる
- 色素沈着のリスクが高まる
- 皮膚のたるみが促進される
摩擦によるダメージは蓄積性で、若い頃には目立たなくても、年齢を重ねるにつれて目元の変化として現れることがあります。また、メイク落としの際に使うコットンの繊維や、クレンジング剤に含まれる界面活性剤も皮膚への刺激となるでしょう。
付け加えると、花粉症などでまぶたをこする習慣がある方も、同様のダメージを受けやすくなります。
遺伝的な皮膚の質や骨格の影響
一重まぶたのたるみには、遺伝的な要素も大きく関係しています。親や祖父母の目元の特徴を思い返してみると、似たような変化を経験している方も多いでしょう。
皮膚の厚さや脂肪のつき方、骨格の形なども遺伝的に決まる部分があり、これらがたるみの現れ方に影響を与えます。また、コラーゲンを作り出す能力や、紫外線に対する抵抗力なども個人差があり、これらは遺伝的な体質も関係しているのです。
遺伝的要因の中でも、特に「皮膚の厚さ」と「脂肪の分布」はたるみに大きく影響します。親族に目元のたるみが早く現れた方がいる場合、あなたも同様の傾向を示す可能性があります。
ただし、生活習慣によって遺伝的な影響を軽減することは可能で、同じ遺伝子を持つ双子でも環境の違いで老化速度に差が出ることが明らかになっています。
以上、一重まぶたのたるみが起こる8つの原因について解説しました。たるみがどの原因によるものかを理解することで、あなたに合った対処を検討する際の参考になるでしょう。
[セルフチェック]一重まぶたのたるみの程度

一重まぶたのたるみは、じわじわと進行するため自分では気づきにくいものです。「なんとなく目が重い…」と感じていても、実際どの程度たるんでいるのか判断に迷う方も多いでしょう。
まずは客観的に自分の目元の状態をチェックしてみませんか?簡単なセルフチェックで、今のたるみの程度をおおよそ把握できます。
※ただし、正確な診断には医師の診察が必要です。
鏡を使って目元の変化を確認する
自然光の下で鏡を正面に見て、目元の状態をしっかり観察してみましょう。
自然光は色の再現性に優れており、まぶたの微細な変化をより正確に観察できるためです。室内の照明でも観察は可能ですが、できるだけ明るく均一な照明の下で行いましょう。
まずは、目を自然に開いた状態で以下をチェックしてみて下さい。
【目元観察のポイント】
- 正面を向いて自然に目を開く
- まつげが皮膚に隠れていないか見る
- 目頭や目尻の皮膚の状態を確認する
- 左右の目の大きさに差がないか比較する
また、5年前や10年前の写真と見比べてみるのも有効な方法です。写真なら客観的に変化を捉えられ、「こんなに変わっていたのか!」と気づくことも少なくありません。
日常の症状から重症度をチェックする
一重まぶたのたるみは見た目だけでなく、日常生活にも様々な影響を与えます。以下のチェックリストで、あなたの症状がどの程度なのか確認してみましょう。
| あてはまる | チェック項目 |
|---|---|
| □ | まぶたの皮膚が以前より厚く重く感じる |
| □ | まつげがまぶたの皮膚に覆われるようになった |
| □ | 目頭や目尻にたるんだ皮膚がある |
| □ | まぶたにしわやたるみの線が目立つ |
| □ | 疲れて見えるとよく言われる |
| □ | 以前より目が小さく見える |
| □ | まぶたの皮膚が全体的にもたついている |
チェック項目に多く該当する場合、たるみによる何らかの影響が出ている可能性があります。ただし、機能的な問題があるかどうかは眼科的な検査が必要です。気になる症状がある場合は専門医にご相談ください。
また、症状の現れ方には個人差があり、軽度のたるみでも生活の質に大きく影響する方もいます。数の多さだけでなく、「どの症状があなたの悩みに直結しているか」も重要な確認材料になるでしょう。
たるみの進行段階を判定する
眼瞼下垂を伴う場合を含めた一重まぶたのたるみには、軽度~重度までの段階が考えられます。以下の表を参考に、現在の状態がどの段階にあるかチェックしてみてください。
| 段階 | 見た目の特徴 | 日常への影響 | 対処法の目安 |
|---|---|---|---|
| 軽度 | まつげがやや隠れる | 疲れて見える程度 | まず医療機関で相談する |
| 中等度 | まつげが大部分隠れる | 視界の狭まりを感じる | 治療時期を早めに検討する |
| 重度 | まつげが完全に隠れる | 視野狭窄・頭痛など | 早期の治療を実施する |
軽度の段階でも、根本的な改善には専門的な治療が必要になります。重度まで進行すると、見た目の問題だけでなく視界の狭まりや慢性的な頭痛など、健康面への影響も深刻になります。
医師から眼瞼下垂と診断され、まぶたが瞳孔にかかって視界に支障をきたしている場合や、日常生活に影響がある場合は、機能改善の治療として「保険適用」の可能性があります。早めの対処ほど選択肢が多く、負担も軽く済むこともあるでしょう。
以上、一重まぶたのたるみの程度について、セルフチェックの方法をご紹介しました。あなたの目元の状態はいかがでしたか?現状を把握することで、次のステップとして医師への相談や治療の検討がしやすくなります。
一重まぶたのたるみを解消する方法はある?

一重まぶたのたるみを根本的に解消したい場合は「手術治療」が有効な選択肢の1つです。「手術なんて大げさな…」と感じるかもしれませんが、現在は技術が進歩し、短期間で自然な仕上がりを期待できる治療法が複数あります。
ここでは3つの手術方法について、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
眉下切開法
眉下切開法は、眉毛の下のラインに沿って切開し、たるんだ皮膚を取り除く手術です。一重まぶたの方にとって、自然な印象を保ちながらたるみの改善が期待できます。
この手術の大きなメリットは、傷跡が眉毛で隠れやすいことです。また、まぶたの形や厚みを大きく変えないため、「整形したとバレたくない」という方にも選ばれています。
手術は局所麻酔で行われる日帰り手術です。ただ、眉毛の形や生え方によっては傷跡が目立つ場合もあるため、事前のカウンセリングでしっかり確認することが大切です。腫れのピークは術後2~3日で、その後徐々に改善していきます。

※手術の結果には個人差があります。
上眼瞼除皺術
上眼瞼除皺術(じょうがんけんじょすうじゅつ)は、まぶたの上側を切開して、たるみの原因となる余分な皮膚や脂肪を同時に取り除く手術です。特に「まぶたが腫れぼったい」「脂肪で目が重い」と感じている一重まぶたの方への適応が考えられます。
皮膚と脂肪の両方にアプローチできるため、人によっては大きな変化を期待できます。
ただし、皮膚の切除量が多すぎると、厚い皮膚と薄い皮膚を縫合することになり、違和感のあるまぶたになることがあります。まつげ近くと眉近くでは皮膚の厚みが異なるため、切除量の判断には高度な技術と経験が必要であり、経験豊富な医師選びが特に重要になる手術です。
術後の腫れは1週間程度がピークとなり、2~4週間でほぼ落ち着きますが、完全に腫れが引くまでには半年程度かかります。

※手術の結果には個人差があります。
挙筋前転法
挙筋前転法(きょきんぜんてんほう)は、まぶたのたるみと眼瞼下垂が同時に起こっている方に行われる、より包括的な治療法です。単純にたるみを取るだけでなく、目を開く機能そのものを改善することで、見た目と使いやすさ両方の解決が期待できます。
手術中には、医師が適切なまぶたの開き具合を確認しながら調整するため、より自然で機能的な仕上がりを目指せます。
回復までの期間は、一般的に腫れや内出血が1~2週間程度で落ち着き始め、完全な回復には3ヶ月程度を要します。多くの方が機能面での改善も実感されている手術です。
また、眼瞼下垂による肩こりや頭痛は、まぶたが上がりにくいために前頭筋(おでこの筋肉)を使って無理やり持ち上げようとすることが原因の1つですが、手術により適切なまぶたの機能が回復することで、これらの症状の改善も期待できます。

※手術の結果には個人差があります。
以上、一重まぶたのたるみを解消する3つの手術方法をご紹介しました。どの方法を選ぶかは、あなたの症状の程度や希望する仕上がりによって決まるため、専門医とじっくり相談することが大切です。
まぶたのたるみ手術について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
まとめ|原因を知って適切なたるみ改善を

まぶたのたるみに悩むあなたへ、これは年齢を重ねれば誰にでも起こり得る自然な変化です。特に一重まぶたはその構造上、二重まぶたと異なり皮膚の折れたたみができないため、まぶたの皮膚が視野に影響しやすい傾向があります。
「昔はもっとぱっちりしていたのに…」そんな気持ちを抱えながらも、毎日鏡を見る度にため息をついている方も多いでしょう。ここで大切なのは、原因を正しく理解して、あなたに合った治療方法を見つけることです。
今回解説した8つの原因の中で、あなたに当てはまるものはありましたか?その後のセルフチェックで現在の状態を把握できれば、次に取るべき行動も見えてくるはずです。
「一重のせいかたるみが目立つ…もう手遅れかも」と諦める必要はありません。記事でもご紹介しましたが、現在の医療において、個人の症状に応じたたるみ改善手術が複数あります。自分に合った治療により、機能的な改善とともに自然な見た目の向上も期待でき、実際に多くの方が満足されています。
あなたも、鏡を見ることに前向きになれる日が訪れるかもしれません。
形成外科Dr.やなの監修コメント
一重まぶたのたるみでお悩みの方から、「セルフケアだけで何とかならないか」「手術は少し大がかりな気がする」というご相談もいただきます。お気持ちは十分理解できますが、構造的な問題が関わる一重まぶたのたるみは、残念ながらセルフケアだけでは根本的な改善は難しいのが現実です。
「もっと早く相談すれば良かった」とおっしゃる患者さんも多く、早めの対処ほど選択肢も広がります。「目元の手術って初めてで不安…」という方も多いですが、経験豊富な医師であれば、自然な仕上がりを重視した手術も十分可能です。
また、眼瞼下垂を併発している場合は保険適用となるケースもあり、思っている以上に負担を抑えられる場合もあります。まずは現在の状態を信頼できる医師に相談し、正確な診断をすることから始めてみてください。



