「まぶたが重たくて目を開けるのがつらい」
「たるみがひどくて視界が狭くなってきた」
「フェイスリフトはまぶたのたるみも取れる?」
年齢とともに気になり始めるまぶたの悩み。同時に頬やフェイスラインのたるみも改善したいと考えて、「フェイスリフト」を思い浮かべる方も少なくありません。
「どうせなら一度に全部すっきりしたい」と思うのは自然なことです。
Dr.やなは年間100件以上のまぶた治療を行いますが、治療の範囲や効果について、正しい情報が伝わっていないケースが多いと感じています。
この記事では、フェイスリフトとまぶた治療の違いを明確にし、あなたの症状に合った治療法の選び方を解説していきます。
保険適用の可能性も含めて、後悔しないための情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
も く じ
Toggleまぶたのたるみにフェイスリフトは効果あり?

結論からいうと、一般的なフェイスリフトでまぶたのたるみを改善するのは難しいとされています。
フェイスリフトは主に頬やフェイスライン、首といった中顔面から下顔面のたるみを引き上げる手術で、まぶたへの効果は限定的といえます。
「ついでにまぶたも引き上がるのでは?」と期待される方も多いのですが、実際には治療の対象範囲が異なるのです。
まぶたの悩みには、上眼瞼形成術や眉下切開法、眼瞼下垂手術といった、まぶた専門の施術が適しています。
フェイスリフトで改善できる範囲とは
こめかみや耳の周辺から皮膚を引き上げるフェイスリフトは、頬のたるみやほうれい線、フェイスラインのもたつき、首のたるみの改善が期待できます。
皮膚を引っ張る方向が斜め後ろに向かうため、顔の下半分の印象が変わりやすいです。
フェイスリフトの治療範囲は、基本的にまぶたの悩みを解決する目的で設計されていません。つまり、頬やフェイスラインの変化があっても、重たく垂れ下がったまぶたはそのまま残る可能性が高いです。
「まぶたも少しは変わるんじゃないの?」と思われるかもしれません。確かに、眉の位置がわずかに上がることで、間接的にまぶたが軽く感じることはあります。
ただし、上まぶたの余った皮膚や、眼瞼下垂による視界の狭さといった根本的な悩みは解決されないケースがほとんどです。
まぶたのたるみが改善されにくい理由
それは、まぶたの構造とたるみが起こる原因が、他の部位と異なるからです。
まぶたは、上眼瞼挙筋という筋肉がまぶたを持ち上げる役割を担っています。加齢や長年の刺激によって、上眼瞼挙筋の末端部分である挙筋腱膜がゆるんだり伸びたりすると、まぶたが開きにくくなります。これが「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と呼ばれる状態です。
他にも、皮膚の余りや脂肪の突出など、複数の要因が関わっています。
【まぶたのたるみの主な原因】
- 上眼瞼挙筋の機能低下(筋肉が伸びる・薄くなる)
- まぶたの皮膚が余ってたるむ
- 眼窩脂肪が前に飛び出してくる
- コンタクトレンズの長年使用による刺激
- まぶたをこする癖がある
たとえフェイスリフトでぐっと引き上がっても、まぶたの内部構造には何も変化がないため、根本的な改善にはつながらないというわけです。
もう1つ、まぶたは非常にデリケートな部位だという点も見逃せません。まぶたの皮膚の厚さはわずか0.6mm程度で、顔の他の部位の平均(約2.0mm)と比べて3分の1以下しかないのです。
そのため、フェイスリフトのような広範囲を引き上げる手術では、繊細な調整が難しくなります。
まぶたの悩みに適した治療法は?
では、まぶたのたるみや眼瞼下垂にはどんな治療が効果的なのでしょうか。悩みの種類によって、適した手術方法が変わってきます。以下の表を参考にしてみて下さい。
| 治療法 | 適した悩み | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 眼瞼下垂手術 | まぶたが開きにくい・視界が狭い | 挙筋腱膜を短縮・固定し、まぶたの開きやすさの改善を図る |
| 上眼瞼形成術 | 皮膚の余りが多い | 余分な皮膚を切除し、見た目の改善を図る |
| 眉下切開法 (眉下リフト) | 眉とまぶたの距離が近い | 眉の下から皮膚を切除し、自然な印象への改善を図る |
眼瞼下垂手術
眼瞼下垂手術は、ゆるんだり伸びたりした挙筋腱膜を短く縫い縮め、まぶたの開きやすさの改善を図る治療です。保険適用になる場合もあり、視界の改善とともに、頭痛や肩こりが軽減される方もいます。
「最近、目が疲れやすくなった」「無意識におでこにしわを寄せている」という方は、眼瞼下垂の可能性があるかもしれません。
上眼瞼形成術
上眼瞼形成術(じょうがんけんけいせいじゅつ)は、まぶたの余った皮膚を切り取り、目元の見た目の改善を図る手術です。まぶたがかぶさって二重のラインが隠れてしまっている方や、目を開けても重たい印象がある方に向いています。
こちらは、たるみによる視野狭窄がなければ、基本的に自費診療となります。
※視野狭窄(しやきょうさく)とは、まぶたのたるみなどで目の周りの視界が物理的に遮られ、見える範囲が狭くなってしまう状態のこと。
眉下切開法(眉下リフト)
眉の下から余分な皮膚を切除する方法で、まぶたと眉の距離が近い方に向いています。傷跡が眉の下に隠れるため、比較的目立ちにくいというメリットがあります。
また、もともとの二重のラインを変えずに、自然な印象への改善が期待できます。
以上、フェイスリフトがまぶたのたるみに効果が限定的である理由と、まぶた専門の治療法について解説しました。
それぞれの部位に合った治療を選ぶことが、理想の仕上がりへの近道です。ただし、それぞれ専門の技術が必要なため、経験豊富な医師に任せることが重要になります。
まぶたのたるみ手術について、具体的な方法や費用の目安について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
まぶたのたるみ改善に適した治療法の選び方

まぶたのたるみや眼瞼下垂の専門治療には選択肢があり、それぞれ費用も効果も異なります。では、自分に合った治療法はどうやって見極めればよいのでしょうか。
ここでは、まぶた治療を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントを解説していきます。
まず保険適用の可能性を検討する
最初にチェックしたいのが保険適用になるかどうかです。眼瞼下垂が日常生活に支障をきたしている場合は、保険診療の対象になる可能性があります。
主な条件の1つとして、まぶたが垂れ下がって視界が狭くなっていることが挙げられます。
具体的には、
- まぶたを持ち上げないと視野が確保できない状態
- 上まぶたが瞳孔にかかって視界が狭くなっている状態
これらが該当する可能性が高いでしょう。
他にも、眼瞼下垂が原因で頭痛や肩こりが起きている、おでこにしわを寄せないと目が開けられないといった症状があれば、保険適用と判断される場合があります。
保険適用の場合、3割負担なら両目の手術費用は45,000円前後が1つの目安です。
ただ、これとは別に、診察料や術前検査、術後の経過観察などで別途費用がかかります。総額は症例により異なりますが、5万円程度を目安として考えておくとよいでしょう。
※使用する材料や手術の内容によって費用は変動します。
一方、美容目的でまぶたのたるみを取りたい、二重のラインをはっきりさせたい場合は自費診療になります。視界に問題がなく、見た目の改善だけが目的なら、保険は使えません。
自費診療の場合、両目で20万~60万円程度が相場です。
まずは形成外科などで診察を受けて、保険適用の可能性を確認することをおすすめします。視野検査や写真撮影を行い、機能的な障害があると判断された場合、保険診療での治療を検討できるでしょう。
まぶたの手術で、保険適用の条件や自費診療との具体的な違いについて気になる方は、下記の記事が参考になります。
予算と治療効果のバランスで考える
治療法を選ぶとき、費用が高ければ高いほど効果があると思いがちですが、実際にはそうとも限りません。重要なのは、あなたの症状に合った治療を選ぶことです。
たとえば、まぶたが開きにくくて視界が狭い悩みがあるなら、眼瞼下垂手術が1つの選択肢です。前述の通り、保険適用であれば手術費用は45,000円前後で、症状の改善が期待できます。
一方、20万円、30万円、50万円といった高額な自費治療を選んでも、症状に合っていなければ満足のいく結果は得られません。
また、「少しでも費用を抑えたい」という気持ちは当然ですが、安さだけで選ぶのもリスクがあります。
特に注意したい1つが、モニター価格として格安で募集しているクリニックです。施術前後の写真を公開する条件で安くなるケースが多いのですが、中には経験の浅い医師が執刀することもあります。
まぶたは非常に繊細な部位なので、多少費用がかかっても、経験豊富な医師を選ぶほうが安心です。
また、カウンセリングで高額な治療を勧められても、無理に契約せず、メリットとデメリットをしっかり確認し、納得した上で選択しましょう。
「今日中に決めてくれたら割引します」といった営業トークには、慎重な対応が求められます。本当に必要な治療かどうか、冷静に判断することが大切です。
まぶた治療専門の医師に相談する
治療法を選ぶ上で最も重要なのが、どの医師に相談するかです。形成外科医や美容外科医の中でも、眼瞼下垂やまぶたの治療を専門にしている医師を選びましょう。
まぶたは、ミリ単位のずれが仕上がりに大きく影響します。また、まぶたを持ち上げる筋肉の調整は繊細な作業であり、左右のバランスを整えるには技術と経験が求められます。
一般的な美容外科の手術経験があっても、まぶた治療の経験が少ない医師だと、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
【カウンセリングで確認すべきポイント】
- 執刀医がまぶた治療の豊富な経験を持っているか
- 自分と似た症例の術前術後の写真を見せてもらえるか
- 執刀医が形成外科専門医の資格を持っているか
- 起こりうるリスクや合併症などを丁寧に説明してくれるか
- 治療の選択肢を複数提示してくれるか(メリットデメリットを含めて)
信頼できる医師の多くは、患者さんの悩みをじっくり丁寧に聞いてくれます。
「この手術が絶対におすすめです」と1つの方法を過度に推す医師や、カウンセリングが短時間で一方的に終わってしまうクリニックには注意が必要です。
また、カウンセリングを担当した医師が実際に執刀するのかも必ず確認してください。中には、カウンセリングはベテラン医師が行い、実際の手術は経験の浅い医師が担当するケースもあるようです。
どのような基準で医師を選べばよいのか、具体的なチェックポイントを知りたい方には、下記の記事が参考になります。
以上、保険適用の確認、予算とのバランス、専門医への相談という3つの視点から、まぶたの治療法の選び方を紹介しました。くれぐれも焦らずじっくり検討することが重要です。
まとめ:フェイスリフトとまぶた治療は別物

一般的なフェイスリフトは、頬やフェイスライン、首のたるみ改善に用いられる治療の1つです。「顔全体のたるみを取るついでに、まぶたもすっきりするはず」という期待は、残念ながら叶わないことが多いです。
大切なのは、自分の症状に本当に必要な治療を見極めることです。まずは形成外科などを受診して、あなたのまぶたの状態を正しく診断してもらいましょう。
形成外科Dr.やなの監修コメント
フェイスリフトは顔全体のたるみ改善には有用ですが、まぶたは独立した治療領域であり、専門的なアプローチが必要です。特に眼瞼下垂による視界の問題、まぶたが開きにくいといった機能的な悩みには、眼瞼下垂手術が検討されます。
そして、多くの方が見落としがちなのが、保険適用の可能性です。高額な自費治療を検討する前に、まずは保険適用の有無を確認していただくことをおすすめします。
私は「本当に必要な治療を、適正な価格で提供する」という考えのもと、埼玉・東京・茨城の10院以上でまぶた治療を行っています。保険適用できるものは保険で、自費治療が必要な場合も無理のない範囲でご提案しています。
まぶたの悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお話を聞かせていただき、あなたの症状に適した治療を一緒に見つけていきましょう。



