「なんだか疲れて見えるように…」
「実年齢より老けて見られがち…」
目の下のクマにお悩みの方なら、このような経験がありませんか。クマは見た目の印象を大きく左右し、自信にも影響を与えてしまいますよね。
実は、一見同じように見えるクマでも、その背景にある原因は人それぞれ異なります。「私のクマはどうすれば改善できるの?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
Dr.やなは形成外科専門医として、美容医療の現場で数多くのクマ治療に携わってきました。目のクマは決して改善できないものではありません。適切なアプローチがあれば、明るく健康的な目元に近づけることは可能です。
この記事では、目のクマの基本的な対策から治療方法まで詳しく解説します。あなたの目元の悩み改善に向けた実践的な情報をぜひチェックしてみて下さい。
も く じ
Toggle対策前に!3種類の目のクマを見分けよう

目のクマ対策を始める前に、「自分のクマがどのタイプなのか?」を見極めることが大切です。クマには青クマ、黒クマ、茶クマの主に3つの種類があり、それぞれ原因が異なるため、適切な対策も変わってきます。
まずは鏡を使って以下の特徴をチェックし、あなたの目のクマがどれに当てはまるか確認してみましょう。
青クマの特徴や原因
【特徴】
青みがかった色や紫っぽい色をしているクマです。下まぶたの皮膚を軽く引っ張ると色が薄くなったり、上を向くと目立たなくなる傾向があります。蒸しタオルで目元を温めた後に鏡で確認すると、一時的に色が薄くなりやすい特徴があります。
【原因】
血行不良が主な原因で、目の周りの毛細血管に血液が滞ることで青く見える傾向があります。睡眠不足や疲労、長時間のスマホ使用、冷えなどで血流が悪くなると現れやすくなります。
目の周りの皮膚は薄いため、血行不良により酸素不足となって、暗い色に変化した血液が透けて見えることで青クマとして認識されるのです。
黒クマの特徴や原因
【特徴】
影のように黒っぽく見えるクマで、上を向くと薄くなったり消えたりする場合があります。横から見ると目の下がぷっくりと膨らんでいることが多く、光の当たり方によって濃淡が変わることが多いです。
指で下まぶたを軽く押し上げると、クマの色が変化する場合があり、これも見分けるポイントの1つです。
【原因】
加齢による目の下の脂肪の突出や筋肉のたるみが主な原因です。眼輪筋が衰えることで目の下の脂肪を支えきれなくなり、ぷっくりと膨らんで影を作ってしまいます。
また、コラーゲンの減少による皮膚のハリ不足により、たるみが生じることも黒クマの形成に影響を与えます。
茶クマの特徴や原因
【特徴】
茶色っぽい色素沈着が特徴で、皮膚を引っ張っても上を向いても色が変わらない特徴があります。メイクを落とした後でも同じ色が残る場合が多いため、他のクマと比較的見分けやすいタイプです。
日焼けしたような褐色で、皮膚そのものが変色している状態になります。
【原因】
紫外線によるメラニン色素の沈着や、目をこする習慣による慢性的な刺激が主な原因です。アトピー性皮膚炎やアレルギーで目をかく方にも現れやすい傾向があります。
また、クレンジングや洗顔時の摩擦、強いアイメイク除去による刺激も、茶クマの原因となります。
以上が3つの目のクマの見分け方です。あなたはどのタイプに当てはまりましたか?
実は、多くの方が「自分のクマは1つのタイプだけ」と思いがちですが、青クマと黒クマが混在している場合や、茶クマに青クマが重なっているケースも少なくありません。そのような場合は、より目立つクマから優先的に対策するのがポイントです。
自分のクマのタイプが分かったら、次はそれぞれに適した対策を実践していきましょう。
[種類別]目のクマにおすすめの対策を紹介

ここからは、種類別で目のクマにおすすめの対策を紹介していきます。クマの種類ごとに有用な対策を表にまとめました。
あなたのクマのタイプに合わせて、◎や○の対策を優先的に取り入れてみて下さい。
| 対策 | 青クマ | 黒クマ | 茶クマ |
|---|---|---|---|
| 質の良い睡眠時間を十分に確保する | ◎ | ○ | ○ |
| ホットタオルで目元を温める(交互温冷法も) | ◎ | ○ | - |
| 目元の保湿ケアを強化する | ○ | ◎ | ◎ |
| スマホやPCの使用時間を制限する | ◎ | △ | △ |
| 適度な運動で全身の血流を良くする | ◎ | ○ | ○ |
| 目元への物理的な刺激を避ける | ○ | ○ | ◎ |
| 抗酸化成分の多い食材を摂取する | ○ | ○ | ○ |
| ストレスを軽減して自律神経を整える | ◎ | ○ | ○ |
| 湯船や温かい飲み物で体を温める | ◎ | ○ | ○ |
| 毎日の紫外線対策を徹底する | ○ | ○ | ◎ |
| クレンジングや洗顔で摩擦を与えない(温度管理も) | ○ | ○ | ◎ |
| 血行促進成分配合のアイクリームを使う | ◎ | △ | - |
| セラミドやヒアルロン酸配合のアイクリームを使う | △ | ◎ | ○ |
| 美白成分配合のアイクリームを使う | △ | △ | ◎ |
◎:特に推奨、○:推奨、△:補助的
※効果の程度には個人差があります。
それでは、3種類それぞれの目のクマ対策のポイントを詳しく見ていきましょう。
青クマの対策
青クマは、血液循環の悪化によって目の周りの毛細血管に血液が停滞することが原因の1つであり、「血流を活性化させること」が対策の中心となります。
特に重要なのは、体を内側から温めるアプローチです。質の良い睡眠は血管の修復と血流の正常化に不可欠で、7時間程度の十分な休息を確保することで目元の血行不良の改善が期待できます。
湯船にゆっくり浸かったり温かい飲み物を摂取したりして、全身の体温を上げることも有用です。
外的な温熱ケアとしては、ホットタオルが有用で、冷たいタオルと交互に当てる温冷刺激により血管の収縮・拡張が繰り返され、血行促進効果が期待できます。
また、スマホやPCの長時間使用は眼精疲労を招いて血流を悪化させるため、意識的に使用時間を制限することも重要です。
スキンケアでは、ビタミンE誘導体などの血行促進成分が配合されたアイクリームを選び、優しくマッサージするように塗布するといいでしょう。
また、オレンジ系のコンシーラーは、青みを目立ちにくくする補正効果があるため、メイクでの対策として試してみて下さい。
※各対策による効果には個人差があります。
黒クマの対策
黒クマは、加齢による皮膚のたるみや眼窩脂肪の突出によって生じる影が原因であるため、「ハリと弾力をサポートする」「影を目立ちにくくする」という2つの観点からのアプローチが大切です。
保湿ケアは黒クマの予防と悪化防止におすすめです。乾燥によって皮膚のハリが失われると、たるみがより顕著になるからです。
セラミドやヒアルロン酸などの高保湿成分が配合されたアイクリームでしっかりと潤いを補給することで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
メイクテクニックでは、ハイライト効果を活用して影を目立ちにくくする方法が有用です。目の下の膨らみの上部分に明るめのコンシーラーやハイライトを入れることで、黒クマを目立たなくできます。
※各対策による効果には個人差があります。
茶クマの対策
茶クマはメラニン色素の沈着が主な原因のため、「色素沈着を予防する」「既にある色素を排出する」「新たな刺激から目元を守る」という3段階の対策がおすすめです。
重要なのは、これ以上の色素沈着を防ぐことです。目をこする習慣の改善、クレンジングや洗顔時の摩擦軽減、毎日の紫外線予防は、茶クマ対策の基本となります。
特に紫外線は新たなメラニン生成の最大要因であるため、日焼け止めやサングラスを使った徹底的な対策が欠かせません。
ビタミンC誘導体、アルブチン、トラネキサム酸などの成分は、メラニンの生成を抑制し、肌のターンオーバーをサポートする働きが期待されます。
ただし、美白ケアは継続が重要で、一般的には2~3カ月程度の継続使用で変化を感じることが多いです。
保湿ケアも茶クマには大切です。乾燥した肌は外的刺激に敏感になりやすく、炎症による色素沈着を引き起こしやすいためです。バリア機能をサポートする保湿ケアは、茶クマの悪化防止に役立ちます。
メイク対策では、イエローやイエローベージュ系のコンシーラーがおすすめです。ただし、クマが濃い場合や肌色によってはオレンジ系のコンシーラーが適す場合もあるため、自分の肌色とクマの濃さに合わせて選びましょう。
※各対策による効果には個人差があります。
以上、目のクマにおすすめの対策を種類別で紹介しました。効果の現れ方は人それぞれで、どのタイプのクマも一朝一夕では改善されません。
表を参考にしながら焦らずマイペースで進め、できるだけ継続的に取り組みましょう。
形成外科で目のクマを専門的に治療する方法は?

セルフケアで改善が難しい重度の目のクマや、遺伝的要因が強いクマに対しては、主に形成外科や美容外科での治療が有効な選択肢となります。
医療技術の進歩により、クマのタイプに応じた複数の手術や治療法があり、原因にアプローチした症状の改善を目指せるでしょう。
ここでは代表的な5つの治療法をご紹介します。あなたの症状や希望に合った方法を検討する際の参考にしてください。
下眼瞼脱脂術(脂肪除去)
黒クマの根本原因である目の下の脂肪の突出に対して、代表的な治療法の1つが下眼瞼脱脂術(かがんけんだっしじゅつ)です。
加齢とともに眼輪筋が薄くなったり、眼球周辺の支持組織が緩むことで前方に突出した眼窩脂肪を、適切な量だけ取り除くことで影の軽減を目指します。
この手術の特徴の1つは、まぶたの内側からアプローチする経結膜法を採用することで、皮膚表面に傷跡が残りにくいことです。手術時間も比較的短く済むことが多いため、身体への負担も軽減できます。
執刀医の技術力が仕上がりに大きく影響するため、目の下の解剖学的構造を熟知した経験豊富な専門医を選ぶことが重要です。脂肪を取りすぎると逆にくぼみができるリスクもあり、適切な量の見極めが重要な手術といえます。
術後のダウンタイムは1~2週間程度で、目の下の膨らみやそれに伴うクマの改善が期待できる治療法です。

※手術の結果には個人差があります。
経結膜脱脂+脂肪注入(戻し脂肪注入)
単純な脂肪除去だけでは対応が困難な複雑なクマには、脱脂と脂肪注入を組み合わせた治療法があります。まず余分な眼窩脂肪を取り除いた後、その脂肪を精製処理して目の下の凹んだ部分に注入し直すというアプローチです。
この方法の利点は、自分自身の脂肪を使用するため異物反応の心配がなく、より自然な仕上がりを目指すことができます。
手術時間は通常の脱脂術よりもやや長くなりますが、一度の手術で脱脂と注入を同時に行うことが可能な治療法です。
ただし、注入した脂肪の定着率には個人差があるため、術後の経過をしっかりと観察し、必要に応じて追加治療について検討することが大切になります。

※手術の結果には個人差があります。
ハムラ法(脂肪移動術)
重度の黒クマや複数の悩みが複合している症例に対して、より高度な技術を要するのがハムラ法です。従来の脂肪除去とは異なり、眼窩脂肪を取り除くのではなく、くぼんだ部分に移動させて固定することで目元全体のバランスを整えます。
この手術では、単純な目のクマ対策だけでなく、ゴルゴ線(ミッドチークライン)と呼ばれる頬の溝や、中顔面のたるみにも同時にアプローチできるため、顔全体の印象改善も図ることができます。
症状の程度や骨格によって適応が決まり、加齢に伴う複数の症状が気になる場合に検討される選択肢です。
手術の難易度が高いため、豊富な経験と技術力を持つ専門医による執刀が重要です。また、手術時間も他の方法より長くなる傾向のため、十分な説明を受けた上で慎重に検討することをおすすめします。

※手術の結果には個人差があります。
ヒアルロン酸注入
手術に抵抗がある方や軽度のクマにお悩みの方には、ヒアルロン酸注入による非手術治療という選択肢があります。目の下のくぼみや凹みにヒアルロン酸を注入することで、影による黒クマの改善が期待できる方法です。
注射のみで完了するため施術時間が短く、日常生活への影響を抑えやすいです。ただし、効果の持続期間は6カ月~1年程度とされており、個人差はありますが、定期的なメンテナンスが必要なことを理解しておきましょう。
また、注入する量や位置によっては不自然な仕上がりになるリスクがあります。特に目の下は皮膚が薄く、ヒアルロン酸が青く透けて見える「チンダル現象」が起こる可能性もあるため、目元に精通した経験豊富な医師を選ぶことが重要です。
※治療の結果には個人差があります。
レーザー治療・美白治療
色素沈着が原因の茶クマには、レーザー治療や美白治療が有用なアプローチの1つです。Qスイッチレーザーやフォトフェイシャルなどの機器を使用して、メラニン色素を分解・除去することで目元の色調改善を目指します。
この治療法は、目のクマ対策と同時に、シミやくすみなど他の肌トラブルにもアプローチできます。顔全体のトーンアップ効果も期待でき、総合的な肌質改善を希望される方に検討されています。
施術自体は短時間で終了しますが、照射部位にかさぶたが形成され、1~2週間程度の保護が必要になります。満足のいく結果には、複数回の治療が必要になる場合が多いです。
また、治療後は一時的な「炎症後色素沈着」が起こる場合があります。これは元の茶クマとは別のもので、通常3~6カ月で改善に向かいますが、紫外線対策を怠ると長期化するおそれがあるため、アフターケアが特に重要です。
※治療の結果には個人差があります。
以上、目のクマの治療を目指す5つの方法を紹介しました。ただし、どの治療法を選ぶべきかは個人の症状によって異なるため、信頼できる専門医とじっくり相談して決めることが大切です。
まとめ:目のクマ対策で明るい目元を目指そう

目のクマは多くの方が抱える悩みですが、適切な対策を継続することで改善可能です。うまくいけば、「疲れて見える」「老けた印象になる」といったコンプレックスの軽減が期待できるでしょう。
目のクマ対策を成功させるポイントをまとめると、以下の通りです。
- クマのタイプを正確に判別する(それぞれ原因と対策が異なるため)
- 生活習慣を見直して血行や肌質の基盤を整える(原因に効率よくアプローチするため)
- 1つの対策を2~3カ月程度継続する(肌のターンオーバー周期に合わせるため)
- セルフケアで改善しない場合は専門医に相談する(特に重度のクマは医療的治療が必要なため)
特に重要なのは「継続すること」です。どんな方法でも即効性は期待しにくいため、焦らずに根気よく取り組むことがカギとなります。また、複数の対策を組み合わせることで、より良い結果につながる場合もあるでしょう。
形成外科Dr.やなの監修コメント
目のクマ対策においては、セルフケアで改善できるケースと医療的なアプローチが必要なケースを見極めることが重要だと考えています。記事にあったように、軽度のクマに対しては、まず自宅で実践できる対策から始めることは理にかなっています。
しかし、遺伝的要因や加齢による構造的な変化が原因の重度なクマについては、どれだけセルフケアを頑張っても限界があるのも事実です。
特に黒クマの原因となる眼窩脂肪の突出や、広範囲の色素沈着による茶クマなどは、外科的治療や美容医療が有効な選択となる場合が多いでしょう。
当院では「必要な治療を適正な価格で提供すること」を大切にしております。高額な治療を無理に勧めることはせず、患者さんの症状とご希望に応じて最適な選択肢をじっくりと検討します。
目のクマでお悩みの方は、まずはセルフケアを試していただき、変化を感じにくい場合はお気軽にご相談ください。一人ひとりの症状に合わせたアドバイスを提供いたします。



