「手術したのに、まだこんなに腫れている…」
術後1週間、2週間と経っても変わらないまぶたを見て、ため息が出ていませんか?
医師からは「徐々に引いていきますよ」と説明されたものの、思っていたより腫れが長引いて焦りを感じている方は少なくありません。
このまま様子を見ていて本当に大丈夫なのか、それとも何か問題があるのか、判断がつかずモヤモヤしている…、これでは精神的にもつらくなってしまいますよね。
Dr.やなは形成外科専門医として数多くの眼瞼下垂手術を執刀してきました。「腫れが引かない=失敗?」と考えてしまう方もいますが、実際には正常な回復過程であることも多いです。
この記事では、腫れが引かない原因は何か、どのくらいで落ち着くのか、いつ病院へ相談すべきか、自宅でできることは何か。あなたの「知りたい」に応える情報をまとめました。
最後まで読めば、今抱えている不安への答えが見つかるはずです。
も く じ
Toggle眼瞼下垂手術後の腫れが引かない原因とは?

眼瞼下垂の手術を受けた後、予想以上に腫れが引かないと「もしかして自分だけ?」と心配になる気持ち、とてもよくわかります。
腫れが長引く背景には、いくつかの要因が絡み合っています。腫れが続くこと自体は必ずしも異常とは限りませんが、中には注意すべき症状もあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
体質や年齢によって腫れの引き方は大きく異なる
まず知っておきたいのは、腫れの引き方は人それぞれ違うということです。普段からむくみやすい体質の方は、手術後も腫れが長引きやすい傾向があります。組織の回復力にも個人差があり、同じ手術を受けても腫れの引くスピードはバラバラなのです。
また、年齢も要因の1つです。一般的に、若い方は組織の修復が比較的早く進む傾向です。一方、年齢を重ねると皮膚のハリや弾力が低下することから、腫れが引くまでに時間がかかる場合があります。
ただし、回復の経過には個人差が大きいため、あなたのペースで回復を待つことも大切です。
手術の範囲や方法が腫れの程度を左右する
眼瞼下垂の手術といっても、その方法は1つではありません。皮膚を切開する範囲が広いほど、組織へのダメージも大きくなり、腫れも強く出ることがあります。
たとえば、余分な皮膚を切除した場合や、眼瞼挙筋を短縮する処置を行った場合などは、腫れが引くまでに時間がかかることも多いでしょう。
初めての手術か、それとも再手術かによっても違いが生まれます。再手術の場合、前回の手術により組織に癒着が生じていることがあり、手術の難易度が上がるため、腫れや内出血などのダウンタイムが長くなる可能性もあるでしょう。
また、執刀した医師の技術や手術の進め方によって、術後の腫れの程度は変わってくることがあります。ただし、腫れが長引いているからといって、必ずしも手術に問題があったわけではないことを理解しておきましょう。
※手術中の止血の状態や、縫合の方法なども腫れに影響を与えます。
術後の過ごし方が回復スピードに影響する
手術後の生活習慣も、腫れの引き方に大きく関わっています。日常の何気ない行動が、知らず知らずのうちに患部へ刺激を与えていることがあります。
たとえば、食生活や睡眠時の姿勢、入浴や運動の程度など、普段は気にしない習慣が腫れを長引かせている場合があるのです。
けれど、医師から「安静に」と言われても、具体的に何をどう気をつければいいのか迷いますよね。セルフケアについては、記事の後半で詳しく紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
術後の腫れが引くまでの期間と経過の目安は?

眼瞼下垂の手術後、腫れが完全に引くまでの期間は、一般的に3~6カ月かかるといわれています。
まずは目安として、一般的な時期ごとの変化を知っておくと、今の状態が正常な範囲内なのか判断しやすくなりますよ。
※ただし、あくまで目安であり、実際の回復スピードは人によって大きく異なります。
術後2~3日に腫れのピークを迎える
手術後2~3日目に、腫れは最も強く現れます。「こんなに腫れるなんて聞いてなかった…」と驚く方もいるでしょう。
しかし、この時期の腫れの多くは手術による一般的な反応です。麻酔液や止血のための処置も影響し、まぶたがパンパンに腫れ上がることもありますが、ピークを過ぎれば徐々に腫れは引いていく傾向です。
この時期は内出血も目立ちやすく、まぶたが青紫色になることがあります。痛々しく見えますが、数日で色が薄くなっていくケースが多いです。
術後1週間~1カ月で徐々に落ち着いていく
術後1週間ほどで抜糸の時期を迎えます。ただし、この頃はまだ腫れが残っているため、「抜糸したのに全然変わらない」と感じる方もいるでしょう。内出血は1~2週間程度で少しずつ吸収されていきます。
【目安:術後1週間~1カ月の変化】
- 約1週間:抜糸完了、腫れの7割程度が軽減する傾向
- 約2週間:腫れの大半が軽減する傾向で、泣いた後程度まで落ち着き、化粧でカバーできるように
- 約1カ月:日常生活では気にならない程度に落ち着く傾向で、朝のむくみは残る場合も
この時期を過ぎると、日常生活で腫れを意識する場面は減っていきます。ただし、術後2~3カ月頃までは朝起きたときのむくみや、まぶたの違和感が続くこともあるでしょう。
これも回復の途中段階です。個人差がありますので、あなたのペースで経過を見守ることも大切です。
【参考症例①】

※眉下切開法による。手術の結果には個人差があります。
術後2~6カ月で最終的な仕上がりに近づく
2~3カ月経つと、周囲の人から見ても腫れが気にならなくなる傾向です。ご自身でも「ようやく落ち着いてきた」と実感できる時期です。
しかし、完全に腫れが引いて最終的な仕上がりになるまでには、さらに時間がかかります。3~6カ月かけて、細かな左右差や微妙な腫れも消失していくでしょう。
「まだ左右で違う気がする…」と不安に思っても、この時期はまだ変化の途中。組織が完全に馴染み、最終的な形になるには、おおよそ半年後と考えてください。
人によっては、季節の変わり目や体調によって一時的にむくみが出ることもあります。それでも時間とともに安定していきますから、長い目で見守りましょう。
【参考症例②】

※挙筋前転法による。手術の結果には個人差があります。
眼瞼下垂術後の左右差が気になる方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
写真で記録を残すと変化がわかりやすい
毎日鏡を見ていると、少しずつの変化に気づきにくいものです。「全然変わっていない」と感じても、実は着実に回復が進んでいることが多いです。
そこでおすすめなのが、写真での経過記録です。
同じ時間帯、同じ照明、同じ角度で撮影すると、客観的に変化を確認できます。「あれ? 意外と腫れが引いてきている」と、前向きな気持ちになる方もよく見られます。
また、医師に相談する際にも、写真があると経過を正確に伝えられます。「この1週間で変化がないように見える」と言葉で説明するより、実際の画像を見せたほうが伝わりやすいでしょう。
今はスマホで気軽に撮れますから、ぜひ習慣にしてみてください。
以上、眼瞼下垂の手術後に、腫れが引くまでの期間と経過の目安を時期別に解説しました。
多くの場合は時間とともに回復していきますが、中には早めに医師へ相談した方がいいケースもあります。次の章では、具体的な受診のタイミングについてお伝えします。
腫れが引かない…病院の受診が推奨されるタイミング

眼瞼下垂の手術後に腫れがなかなか引かないとき、「このまま様子を見ていていいの?」と迷いますよね。判断に迷うのは当然のこと。自己判断で我慢して悪化させるよりも、気になったら相談するほうが安心です。
大切なのは、「すぐに受診が推奨される症状」と「様子を見て差し支えない症状」を見分けることです。明らかな異常のサインを見逃さないよう、具体的なチェックポイントの目安を知っておきましょう。
ただし、少しでも不安があれば、遠慮せずに執刀医へ連絡してください。
すぐに受診が必要な症状を見逃さない
以下のような症状が現れた場合は、我慢せずにすぐ病院へ連絡してください。適切な処置が遅れると問題が生じる可能性があります。
- 激しい痛みが続く、またはズキズキと脈打つような痛み
- 視力が低下した、物がぼやけて見える
- 目が開けにくくなった、開かなくなった
- まぶたが真っ赤に腫れ上がっている
- 腫れが急激に悪化し、パンパンに膨らんでいる
- 38度以上の発熱がある
- 黄色や緑色の膿が出てくる
特に注意したいのは「血腫」です。術後に突然腫れが増す場合は、血液が溜まっている可能性があり、早めの処置が必要になります。感染症の発生頻度は高くはありませんが、万が一の兆候として覚えておきましょう。
視力の変化も重要な点の1つです。「なんとなく見えにくい」程度でも、念のため早めに伝えてください。
これらの症状は、夜間や休日であっても緊急性が高いため、担当医の指示に従って速やかに対応しましょう。
念のため相談したほうがいい症状もある
緊急性は低いものの、気になる症状が続く場合は、次回の診察を待たずに相談してみてください。早めに対処できれば、不安も軽減されます。
次のような状態が続くなら、一度連絡してみましょう。
- 術後3週間以上経っても内出血が少し残っている
- 左右のまぶたの腫れ方や形に少し差がある
- 1カ月経っても腫れが引いていないと感じる
- まぶたの一部だけが硬くしこりのように感じる
- 目やにが増えた、涙が止まらないことがある
- 違和感や引きつれが少し強くなってきた
これらは様子を見ていても自然に改善する場合もありますが、長引くと不安になりますよね。
左右差については、施術方法により仕上がりが安定するまで1カ月~半年ほどかかることもあるため、焦らず経過を見守ることも大切です。
また、痛みはないけれど腫れがまったく変化しない状態が長期間続くなら早めに相談してみてください。埋没法の場合は1カ月以上、切開法の場合は3カ月以上が1つの目安です。
不安なときは遠慮せず相談していい
「こんなことで連絡してもいいのかな?」と躊躇する方もよく見られます。
でも、術後のケアは医師の大切な役割の1つです。遠慮して我慢するよりも、気になったときに聞いてしまったほうが、あなたも医師も安心できると思います。
「腫れが引かないのですが、このまま様子を見ていて大丈夫でしょうか?」と簡単に尋ねるだけでも構いません。医師から「その程度なら正常な範囲です」と言われるだけでも、ぐっと気持ちが楽になるでしょう。
反対に、「ちょっと診せてください」と言われれば、早めに対処できます。判断に迷ったら、自己判断で様子を見続けるのではなく、医師の診察を受けることが何より大切です。
眼瞼下垂手術後の腫れを抑えるセルフケア5つ

眼瞼下垂の手術後の腫れを少しでも早く引かせたい気持ちはとてもよくわかります。
これからご紹介するセルフケアは、腫れを大きく改善する方法ではありませんが、無理のない範囲で取り入れて、焦らず回復を見守りましょう。
※あくまでも回復を妨げない、あるいは少しでも促進するための補助的な対策として。
塩分・飲酒・喫煙を控える
術後の食生活は、腫れの引き方に影響を与えます。特に気をつけたいのが塩分です。塩分を摂りすぎると、体内に余分な水分が溜まりやすくなり、むくみを助長するおそれがあります。
【控えるべきもの】
- 塩分:むくみの原因、薄味を心がける
- 飲酒:血行促進で腫れが長引く、術後2週間程度は控えるのが望ましい
- 喫煙:血流悪化で治癒が遅れる、術後1カ月は避けるのが理想
ラーメンや漬物、インスタント食品など、塩分の多い食事は控えめにしましょう。
飲酒について、お酒が好きな方には厳しいかもしれませんが、せっかくの回復を遅らせてしまってはもったいないですよね。術後2週間程度は様子を見たいところです。
喫煙習慣のある方は、これを機に禁煙にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
激しい運動や長風呂で血行を上げすぎない
血行が良くなりすぎると、腫れや内出血が悪化したり、出血のリスクが高まる場合があります。術後しばらくは、過度に血行を上げすぎないよう注意しましょう。
激しい運動は、少なくとも抜糸までの1週間、できれば2週間程度は避けるほうがいいでしょう。ジョギングや筋トレ、ヨガなど、心拍数が上がる運動は控えたほうが安全です。
術後当日は入浴を控え、シャワーは医師の指示に従ってください。翌日以降も短時間のシャワーで済ませるのが基本です。湯船に浸かる場合は、ぬるめのお湯に短時間だけ。長風呂や熱いお湯は避けてください。
また、サウナや岩盤浴も、血行を一気に促進するため控えましょう。「リラックスしたいのに…」と残念に思うかもしれませんが、回復を優先することが大切です。焦らずゆっくり、体を休めながら過ごしてください。
目をこすったり触ったりしない
患部を刺激すると、腫れが長引いたり傷の治りが遅くなったりします。さらに、感染のリスクも高まるため、できるだけ触らないよう意識しましょう。
とはいえ、無意識のうちに触ってしまうことも多いですよね。気になる気持ちはわかりますが、ぐっと我慢です。
目が疲れると、腫れや不快感が増す場合があります。スマホやパソコンの画面を長時間見続けるのは避け、適度に休憩を入れましょう。読書も同様に、目を酷使しないよう気をつけてください。
「仕事があるから無理…」という方も、最低1時間に1回は目を休める時間を作るようにしましょう。
アイメイクの再開時期も気になるところですね。抜糸後から可能な場合が多いですが、医師に確認してから始めるのが安心です。メイクを落とすときにゴシゴシこすってしまいがちなので、優しく丁寧に扱うことを忘れないでおきましょう。
眼瞼下垂手術後、メイク再開の安全な時期やNG行為について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
うつ伏せ寝を避けて仰向けで寝る
睡眠は回復に欠かせません。質の良い睡眠を十分にとることで、組織修復の促進が期待できます。ただし、寝る姿勢には注意が必要です。うつ伏せや横向きで寝ると、患部に圧がかかり、腫れが長引く原因になることがあります。
手術当日から翌日にかけては、特に出血のリスクがあるため、仰向けで安静に過ごすことが重要です。枕の高さを調整するなどして、できるだけ楽な姿勢を見つけてください。少し高めの枕を使うと、頭が心臓より高い位置になり、腫れやむくみの軽減が期待できます。
「いつもうつ伏せで寝ているのに…」という方には少しつらいかもしれませんね。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、回復のためと思って頑張りましょう。
睡眠不足は回復を遅らせる場合があります。夜更かしは避け、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。「痛みで眠れない」「腫れが気になって寝つけない」という場合は、我慢せずに医師へ相談してください。
サングラスで患部を保護する
術後はまぶたが開きやすくなり、ドライアイやまぶしさを感じやすくなる傾向です。外出時にはサングラスを着用して、目を保護しましょう。紫外線も炎症を悪化させたり、色素沈着の原因になるおそれがあるため、しっかりガードすることが大切です。
サングラスには、もう1つ嬉しい点があります。それは、腫れや内出血を周囲の目から隠せることです。「人に会いたくない」「腫れを見られるのが恥ずかしい」という気持ちがある方には、サングラスが役立ちます。
また、帽子を組み合わせると、さらに紫外線対策が万全になります。日焼け止めを使いたい場合は、患部への刺激になることもあるため、医師に再開時期を確認してから使い始めてください。
術後の肌は敏感になっているため、刺激を最小限にすることが重要です。強風や埃なども、できるだけ避けたいところです。
以上、眼瞼下垂手術後の腫れを抑えるセルフケア5つを紹介しました。どれも特別なことではなく、日常生活のちょっとした工夫ばかりです。無理のない範囲で続けてみましょう。
まとめ:腫れの経過を記録して医師と共有しよう

眼瞼下垂の手術を受けて、思っていたより腫れが長引いている。そんなとき、一番つらいのは「このまま腫れが残ったらどうしよう」という不安ではないでしょうか。
多くの場合、時間とともに腫れは落ち着いていきますので、過度に心配する必要はありません。ただし、判断に迷ったときは、ひとりで抱え込まずに速やかに相談してください。遠慮は不要です。
焦る気持ちはわかりますが、あなたの体は着実に治ろうとしています。その力を信じ、腫れの経過を記録して医師と共有しながらゆっくり見守ることも大切です。
形成外科Dr.やなの監修コメント

術後の腫れについて相談を受けるとき、患者さん自身が思っているより、実際には回復が進んでいるケースが多いのです。
とはいえ、腫れが引かない不安は孤独感を伴います。周囲に相談しにくい悩みだからこそ、医師とのコミュニケーションが大切になるでしょう。術後のフォローは医師の重要な役割です。
もし執刀医とのコミュニケーションがうまくいかない、対応に不安を感じるという場合は、セカンドオピニオンで別の専門医の意見を求めることも検討してみましょう。同じ医師という立場の客観的な説明を受けることで、前向きに回復を待てる方も多いと思います。
私のクリニックでは、「保険適用で受けられる治療は保険で、自費治療が必要な場合も適正価格で」という考えのもと、患者さんにとって本当に必要な選択肢をご提案しています。
埼玉・東京・茨城の10院以上で眼瞼下垂の診療を行っていますので、気になることがあれば、どうぞ気軽にお声がけください。

