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【医師監修】眼瞼下垂のダウンタイムとは?期間・経過・過ごし方を徹底解説!

「眼瞼下垂の手術は決めたけど、ダウンタイムがどんな感じなのか不安…」
「仕事復帰はいつ頃できるの?」
「腫れや内出血は本当に治るの?」

眼瞼下垂手術を検討している方なら、だれもがこんな不安を抱えているはずです。

この記事では、形成外科専門医として20年以上にわたってまぶたの手術を行ってきた私、簗(やな)由一郎が、眼瞼下垂手術のダウンタイムについて、実際の経験を基に詳しくお伝えします。読み終えた頃には、手術後の生活をイメージできるようになっているはずです。

ダウンタイムって何?基本的な考え方

ダウンタイムって何?基本的な考え方

そもそも「ダウンタイム」とは、手術を受けてから日常生活に支障がなくなるまでの期間のことです。つまり、「普通の生活を送れるようになるまでの時間」を指します。

眼瞼下垂の場合、このダウンタイムは手術方法や個人差によって大きく変わります。また、「どこまで回復したら日常生活に戻れる」と感じるかは、お仕事の内容や個人の意識によっても異なるんです。

たとえば、以下のケースをイメージしておくと良いでしょう。

  • デスクワークの方なら、多少の腫れがあっても3〜4日で復帰できることが多い
  • 接客業の方なら、人に会う仕事なので1〜2週間は様子を見たいところ
  • 重労働の方は、もう少し慎重に考える必要がある

眼瞼下垂手術のダウンタイム期間の目安

眼瞼下垂手術のダウンタイム期間の目安

私の経験上、眼瞼下垂手術の一般的なダウンタイムの経過をお伝えします。

手術当日〜3日後:最も腫れが強い時期

手術直後は局所麻酔の影響で、まぶたがパンパンに腫れます。これは寝不足の日の朝のような、あるいは泣き腫らした後のような状態です。この時期が一番つらく感じる方が多いですね。

翌日が最も腫れのピークになることが多く、特に朝起きた時は「本当に治るの?」と心配になるかもしれません。でも安心してください。まぶたは血管が豊富で、実は腫れが引くのも早い部位なんです。

1週間後:抜糸と腫れの改善開始

5〜7日後に抜糸を行います。この頃になると、ピーク時の腫れの半分くらいに改善していることが多いです。内出血がある場合は、青紫色から黄色っぽく変化してきます。

2週間〜1ヶ月:社会復帰の目安

2週間経つと、腫れは全体の80%程度改善します。この頃から、普通の日常生活には支障がなくなる方が多いです。メイクで隠せる程度になるので、接客業の方も復帰しやすい時期です。

3ヶ月後:完成に近い状態

腫れはほぼ完全に引き、傷跡も白っぽく目立たなくなってきます。この頃になると、おでこの力を使わずに楽に目を開けられる新しい感覚に慣れてきます。

術後の症状と過ごし方のポイント

術後の症状と過ごし方のポイント

はじめてのことだと、術後の過ごし方も不安ですよね。ここでは、私、Dr.やなが考える過ごし方のポイントを解説しますね。

目元の腫れへの対処法

手術直後24時間以内の「冷やし」がとても重要です。ただし、保冷剤を直接当てると凍傷になる可能性があるので、必ずタオルなどに包んでください。

1日目〜3日目は:

  • 20分冷やして20分休む、を繰り返す
  • 就寝時は枕を1〜2個重ねて、頭を高くする
  • 目に力を入れないよう、意識的にリラックス

内出血(青アザ)について

内出血は手術の際に細い血管が切れることで起こります。見た目は心配になるかもしれませんが、通常2週間程度で改善します。

メガネやサングラスで隠せるので、外出時はこれらを活用するのがおすすめです。最近は、眼瞼下垂手術を受けることに対して前向きに捉える方も増えていますから、あまり気にせず過ごしていただければと思います。

日常生活での注意点

私が患者さんにお伝えしている重要なポイントをご紹介します。

絶対に避けていただきたいこと

  • 手術部位を触る、擦る、押す
  • 強い洗顔やアイメイク落とし
  • 血行を良くしすぎる行為(激しい運動、アルコール、長風呂、サウナ)
  • コンタクトレンズ(手術後1週間程度は避ける)

推奨される過ごし方

  • シャワーは翌日から可能(患部を濡らさないように)
  • 洗顔は目元以外を優しく
  • 処方された痛み止めや抗生剤をきちんと服用
  • 十分な睡眠と栄養

仕事復帰のタイミング

お仕事への復帰時期は、職種によって大きく変わります。

デスクワーク
術後3〜4日で復帰される方が多いです。パソコン作業中心なら、多少の腫れがあっても問題ないことが多いですね。

接客業・営業職
人と直接会う機会が多い場合は、1〜2週間程度様子を見ることをおすすめします。

体を使うお仕事
建設業や運送業など、重いものを持ったり、激しく動く仕事の場合は、2週間〜1ヶ月程度は慎重に考える必要があります。

ダウンタイムを短くするコツ

ダウンタイムを短くするコツ

では、ダウンタイムを短くするコツはあるのか?

20年以上の経験から、ダウンタイムを短縮するために言えることがあります。これらを実践することで、回復が格段に早くなることが期待できます。

手術前の準備が成功の鍵

結論、準備に勝る対策はありません。準備することで、心にもよとりができますので、以下のポイントを押さえておいてくださいね。

手術日程の計画的な決定

重要なイベントや出張、写真撮影などは手術から最低2週間は避けるようにスケジュールを調整します。また、手術翌日は必ず診察があるので、その時間も確保しておきましょう。私は患者さんには「余裕を持ったスケジュール」をおすすめしています。

必要物品の事前準備

術後はすぐに買い物に行くのが難しくなります。以下のものを準備しておくと安心です。

  • 保冷剤(ケーキについている小さなもので十分)
  • 清潔な薄手のタオルやガーゼ
  • 処方薬を受け取る薬局の確認
  • 1週間分の食料品(調理が簡単なもの)

家族のサポート体制

手術当日は車の運転ができないので、送迎をお願いする必要があります。また、術後2〜3日は目に負担がかかる家事(特に洗濯物干しや掃除)は控えめにした方がよいので、家族に協力をお願いしておくと良いでしょう。

手術直後のケアが回復を左右する

もうひとつのポイントはやはり、術後のケアになります。以下のことを知識として入れておくだけでも変わりますので、参考にしてください。

効果的な冷却方法

最初の24時間は特に重要です。私が推奨しているのは「20分冷却、20分休憩」のサイクル。氷や保冷剤を薄いタオルで包み、まぶたに優しく当てます。強く押し当てる必要はありません。寝る前まで続けることで、翌日の腫れが格段に違ってきます。

適切な安静の保ち方

術後は無理に起き上がらず、リクライニングチェアや枕を重ねて上半身を起こした姿勢が理想的。テレビやスマートフォンは最小限に。読書も目が疲れるので避けた方が無難です。

処方薬の正しい服用

抗生剤は必ず最後まで飲み切ること。痛み止めは我慢せずに、指示通りに服用します。「薬に頼りたくない」という方もいらっしゃいますが、無理をすると逆に回復が遅れることがあります。

日常生活での賢い工夫

患部はもちろんですが、メンタルを良好に保つために、日常生活でも工夫できることはしていきましょう。

見た目をカバーする方法

黒縁の大きめメガネは腫れや内出血を隠すのに最適。普段眼鏡をかけない方も、ダウンタイム中だけ度なしメガネを使うのも一案です。つばの広い帽子も併用すると、より効果的に隠せます。

睡眠環境の改善

質の良い睡眠は回復を促進します。部屋を暗く、静かに保ち、枕の高さを調整して頭部を心臓より高くします。横向きに寝る場合は、手術側を下にしないよう注意。アイマスクは圧迫感があるので避けましょう。

ストレス管理

腫れた見た目に不安を感じるのは自然なこと。でも、必ず改善することを信じて、リラックスして過ごすことが大切です。音楽を聞いたり、瞑想をしたり、自分なりのリラックス方法を見つけてください。「早く治そう」と焦るとかえってストレスになり、回復が遅れることもあります。

ダウンタイムが長引く場合の原因と対処法

ダウンタイムが長引く場合の原因と対処法

ダウンタイムが予想以上に長引く場合、その理由はいくつか考えられます。私の経験上、多くの場合、原因を特定できれば適切な対処ができるものです。

手術方法による違い

まず、手術方法により、ダウンタイムの期間は左右されます。

まぶたの裏側からアプローチする方法(経結膜切開)

一見、傷跡が目立たないので良い方法のように思えますが、実際にはダウンタイムが長引きやすいという欠点があります。なぜなら、、、

  • 目のすぐ近くでメスを使うため、眼球への刺激が強い
  • 術中の麻酔の痛みが通常より強く、患者さんの負担が大きい
  • 目の開きは改善できても、二重の調整が難しく、再手術が必要になることがある

表側からの切開(挙筋前転法など)

私が主に行っている方法で、皮膚を切開して直接アプローチします。

  • 手術の視野が良いため、正確な操作が可能
  • 二重の調整も同時にでき、一度の手術で仕上がりを整えられる
  • ダウンタイムが比較的短く済む

個人の体質による影響

もうひとつ、個人の体質によっても変わります。特に、血管の状態、アレルギー、皮膚の特徴の影響が大きくなります。

血管の状態

血管がもろい方や細い方は、手術中に出血しやすく、術後の内出血も長引く傾向があります。特に、以下に該当する方はご注意ください。

  • 高血圧の薬を飲んでいる方
  • 血液サラサラの薬(ワーファリン、アスピリンなど)を服用中の方
  • 糖尿病の方 これらの方は、手術前に内科の主治医と相談し、必要に応じて薬の調整を行います。

アレルギー体質

アレルギー体質の方は、手術後の炎症反応が強く出ることがあります。

  • 花粉症がひどい方
  • アトピー性皮膚炎の方
  • 金属アレルギーの方 手術前にしっかりとアレルギー歴をお聞きし、必要に応じて術前からアレルギー薬を処方することもあります。

皮膚の特徴

まぶたの皮膚は体の中で最も薄く、個人差が大きい部位です。そのため、以下のような特徴があることを頭に入れておきましょう。

  • 皮膚が特に薄い方は、内出血が目立ちやすい
  • 色白の方は、内出血の色が濃く見える
  • 浮腫みやすい体質の方は、腫れが長引きやすい

術後のケア不足による影響

日ごろの癖や生活習慣により、術後に悪影響を及ぼしてしまうことも少なからずあります。以下の点は、くれぐれもご注意ください。

無意識の習慣

多くの患者さんが無意識に行ってしまう行為が、回復を遅らせることがあります。よくあるのは以下の週間です。

  • 寝ている間に目を擦る
  • 仕事中に無意識に目を触る
  • メイク落としの際に強くこする
  • コンタクトレンズを早く再開してしまう

生活習慣の乱れ

術後の生活習慣も回復に大きく影響しますので、次のことをチェックしましょう。

  • 睡眠不足が続く
  • 過度の飲酒(血行が良くなりすぎて腫れが引かない)
  • 激しい運動やサウナ(血流が増加し、腫れが悪化)
  • 塩分の過剰摂取(浮腫みが増す)

長引く症状への対処法

ダウンタイムが長引く場合は、何かしらのトラブルが発生している可能性がありますので、専門医、執刀医に相談することをおすすめします。

1ヶ月以上経過しても改善しない場合

以下の症状が1ヶ月を過ぎても続く場合は、必ず執刀医に相談してください。

  • 強い腫れが引かない
  • 内出血が黄色くならず、青紫のまま
  • 痛みが続く
  • 目が開きにくい
  • 二重の左右差が大きい

医師に相談する際のポイント

  • 症状の経過を写真で記録しておく
  • 処方薬をどのように服用しているか
  • 日常生活での注意点を守れているか
  • 新たな症状が出ていないか

セカンドオピニオンの考え方

1ヶ月以上経過して改善が見られない場合、執刀医以外の医師の意見を聞くことも一つの選択肢です。ただし、その際は、以下のことを伝えてください。正しい情報が伝わらないと、どんな名医でも改善することはできません。

  • 執刀医の治療記録を持参する
  • 術前の状態がわかる写真があれば持参
  • 受けた手術の方法を正確に伝える

私の経験では、適切な診断と対処により、ほとんどの場合で症状は改善します。不安な気持ちを一人で抱え込まず、遠慮なく相談していただければと思います。

まとめ:安心して手術を受けるために

形成外科専門医の簗(やな)由一郎

眼瞼下垂手術のダウンタイムは確かに気になるところですが、適切な準備と術後ケアで乗り越えることができます。

重要なのはことを、おさらいしておきましょう。

  1. 現実的な回復スケジュールを理解する
  2. 余裕を持った計画を立てる
  3. 術後の指示をしっかり守る
  4. 不安な時は遠慮なく相談する

私は20年以上、数千例の眼瞼下垂手術を行ってきました。患者さんの多くは、ダウンタイムを経て「もっと早く手術を受ければよかった」とおっしゃいます。

目が開きやすくなり、頭痛や肩こりから解放され、若々しい印象になる。そんな変化を考えれば、一時的なダウンタイムは十分に価値のあるものだと思います。

どんな小さな不安でも構いません。手術を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。みなさんが安心して手術を受けられるよう、全力でサポートいたします。

まぶた手術を得意とする形成外科Dr.簗(やな)由一郎

監修:簗 由一郎

形成外科専門医の簗(やな)由一郎です。眼瞼下垂などの「まぶたの手術」を専門に、埼玉・東京の医療機関で診療しています。20年以上の経験と技術で、自然で負担の少ない治療を心がけています。お悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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形成外科専門医Dr.やなが運営する、まぶた・目の下のたるみ・クマ・眼瞼下垂治療の専門WEBメディア。埼玉・東京・茨城の10院以上で、目の下のたるみ取り・クマ取り・眼瞼下垂手術を専門に保険適用で治療します。自費の場合も、なるべく負担のないように低価格で医療をご提供したいと思い、まぶたの悩み専門メディアを立ち上げました。